命を捨てても曲げられない信念があるか?世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?(宮)
TVアニメ『チ。』が面白い。
原作を読んだ方からすれば、「何を今更~」と思われるかもしれないが、未読の僕にとっては実に面白い。
(このアニメ、原作が好きな方も唸らせているようだ。)
2021年の『マンガ大賞』で2位など、数々の賞で受賞・ランクインした話題の作品が、2024年10月より満を持してアニメ化された。
NHK総合(NHK G)で土曜の夜11:45からと遅い時間だが、仕事から帰り自宅でまったりのちょうどよい時間帯ということもあり、毎週ほぼリアタイで観ている。
舞台は15世紀のヨーロッパ。「天動説」が正しく「地動説」は禁じられた考えという社会の中、命がけで「地動説」を研究する人々を描いていく。
「地動説」を研究したため「異端」とされた人々の受ける拷問のシーンなどでは、目を覆うような刺激的な場面も多くあるので、NHKも結構攻めたなぁ~と感心(?)してしまう。
ガリレオ裁判の「それでも地球はまわっている」の印象が強いため、「中世ヨーロッパでは地動説を唱える者へのキリスト教による激しい迫害・弾圧があった」と僕自身も信じていたが、どうやら史実では、必ずしも地動説を支持した人の全員が処刑されたわけではないようだ。
実際、「地動説」を唱えたコペルニクスは、領主司祭を務めるなど教会と良好な関係を持っていたとさえいわれている。
とはいうものの、ヨーロッパのキリスト教社会において、「異端」、「異教徒」さらには「魔女」(と呼ばれた罪なき人々)に対する弾圧はかなり厳しかったことは事実で、中世以降の「魔女狩り」では、数百万人もの女性が犠牲になったといわれている。
ネタバレになるのでここでは書けないが、そういった “妄信する人間の行為の恐ろしさ” も、生々しく描いているのもスゴイ。
また題名である『チ。』の意味は、大地の「チ」、血の「チ」、知識の「チ」の3つからなり、『。』(句点)をつけた意図は、「句点は文章の終わり、停止を意味する」ことにあるとのことだ。
「地球は動くのか、動かないのか」を「。」で表現しているのは、なるほどアイキャッチの際、「。」がくるりと「チ」の周りを回ることでも表現されていることがわかる。
ここ数日、中学生が校舎に来る時間帯には、西の空には「金星」が、東の空には「木星」が明るく輝き、帰る頃には1月12日に2年2カ月ぶりに最接近した、「火星」も観ることができる。
授業前や授業後に、ひときわ明るく輝く星を見つけた生徒から、「先生、あの星ってなに?」と聞かれることも少なくない。
望遠鏡が発明された17世紀初頭、ガリレオ・ガリレイが自作望遠鏡で金星の満ち欠けや木星の衛星を発見するまで、中世の人々は正確な観測をどのようにやっていたのだろうか?
肉眼だけじゃあ限界があるよなぁ~などと思わず考えてしまう。
歴史的史実ではなく、あくまでもフィクションだが、「え~!?」と驚かされる展開の数々に、毎週目が離せない。
すでに16話まで終わり第3章に入っているが、「アマゾンプライム」や「ネットフリックス」などの配信サービスでも観ることができるので、興味がある人はぜひ!
追記:
表題の『命を捨てても曲げられない信念があるか?世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?』は、この作品のキャッチコピーです。
うん、かっこいいよね!