観覧車。恐ろしい乗り物だ。
僕は高所恐怖症である。でも、観覧車には乗りたくなる。下を見ると卒倒しそうになるが、遠くの景色を見るのはいい。この矛盾は何だろう。
東京スカイツリー(634m)をはじめ、世界には多くの高層建築物がある。ドバイのバージュ・カリファ(828m)は地上206階建てだそう。なぜ人は高みを目指すのか。
そこには人間の本能の1つが関係しているらしい。
野生のサルやチンパンジーを観察していると、群れの見張りが木の上などの高いところに登ってしばらく遠くを眺めている様子をうかがえる。外敵の接近を監視したり、獲物を探したりしているそうだ。景色を楽しんでいるかは不明らしいが、他の動物では見られないこの行動は、類人猿、そして人類が生きていくために高いところに登って展望したいという欲求をもっている可能性を暗示している。
「腹が減った」われわれ人類の祖先が木の上にのぼって獲物を見つけた。「やったぜ!」と心が満たされたその幸福感が遺伝子レベルで今に伝わっているのかも、ということである。高所恐怖症でも高いところから見る風景に感動するのはそういう理由があるらしい。少し納得である。
高いところから見る景色はそこにのぼってみないと分からない。文字や映像の情報だけでは実感がわかないものも肌で感じることができる。静岡県を流れる天竜川。「竜」の字が使われる理由は諸説あるらしいが、秋葉山から見た天竜川の流れは、まさに天に竜が昇っているようだと感動したのだが、これも人間の本能が揺さぶられたからなのだろうか。
新学年の授業が始まって1か月が過ぎた。最高順位、高得点を目指して頑張る夢現塾生。高みを目指す人間の本能に従って努力を続けていこう。まだ見たことがない素晴らしい景色が待っているはずだ。