先日、以前から気になっていたそば屋を訪れた。
「越前そば」
今年度から新しくなった中学2年生の英語の教科書に、「delicious food」の一例として写真付きで登場している。10年ぐらい前に福井で食べたそばが越前そばだった気がするなあと思っていたが、実際に食べたのは「永平寺そば」という別物の疑いがあることが判明したため、真偽を確かめようと訪問した次第である。
「そばの命は3分です」
店内の壁の目立つ場所に貼られてある紙から店主の強いこだわりと自信が感じられる。「だから早く食べてね、もちろん食事中にスマホなんかはやめようね(実際の表現を簡略化しています)」と文言が続いており、無言のプレッシャーをかけているようだ。
が、僕は3分という時間にひっかかっていた。世間には3分という時間の区切りが多い。カップラーメンの待ち時間、ウルトラマンのカラータイマー、ボクシングの1ラウンド、キユーピー3分クッキング、ムスカがパズーたちに与えた猶予時間などなど。今年春までの愛知県公立高校の推薦入試で実施されていたのも、通称「3分間スピーチ」だった。
それぞれに理由がありそうだが、3分は短すぎず、長すぎずちょうど良い時間ということだろう。
「テスト終了まであと3分!」
僕たちはこの掛け声で決してプレッシャーをかけているわけではない。テストでの残り3分は、短いようではあるが確実に何かができる時間だ。「見直せよ!」「まだあきらめるなよ!」という僕たちの心からの応援メッセージである。
p.s. 「ダイコンの下の部分を直線的に力強くおろした(中学1年の国語教科書『ダイコンは大きな根』より)」であろう辛味が効いた大根おろしでいただく越前そばは、大盛でも3分以内で完食可能なシンプルながらも美味なものだった。