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Olá（加） | 愛知県岡崎市・幸田町の夢現塾

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Olá（加）

2019.10.22

2ヶ月前、私はここに立っていた。

目の前に広がるのは大西洋。

ここはユーラシア大陸最西端の地、ロカ岬だ。

鉄砲、カステラ、ザビエル、この3単語を聞けば秒で浮かぶ国。

そう、ポルトガルに私は来ていた。

「僕が会った人の中でポルトガルに行った人は初めでですよ」

と高須先生は言っていた。

日本人には馴染み深い国(なはずの)、ポルトガル。

歴史の教科書では必ず聞く国であり、ポルトガル語を話す人が身近にいることも多いのではないだろうか。

それなのに、私の中では「いつか行ってみたい国」に入るどころか、そもそも思いつきもしなかった。テレビで取り上げられることも少なく、パッと思いつく世界遺産もない。行く理由がなかったからだ。

目的地選択会議の中で最後に絞られたのは「南イタリア」と「ポルトガル」だった。

迷いに迷って数日後…

とうとう同行者である母親から「未知の旅をしよう」と決断の連絡が来たのだった。

成田を出発して9時間後、そしてイスタンブールで乗り換え6時間後、腰痛と吐き気を催しながらやっとポルトガルに到着した。

隣のスペインとは雰囲気が全く違い、観光客もそれ程多くはない。そしてまだまだ観光化も進んでおらず、建物も手直しが必要そうな場所も多かった。

しかし、驚いたことに日本と似ている点が多い気がした。

ご飯の味付け、イワシをよく食べること、道が狭いこと、人が温かいこと。

不思議なことに東西の端と端、日本から10927km離れた場所は日本と雰囲気が似ていた。

かつてポルトガルの宣教師たちが長崎を訪れた時も同じことを思ったそうだ。

そんなポルトガルで、これでもかと言うぐらい目にした物がある。

この「ガロ」と呼ばれるニワトリの置き物。

ポルトガルではこのガロは「奇跡と幸運をもたらす」と信じられており、どこもかしこもガロだらけなのだ。

「これを持っていれば奇跡と幸運が舞い込んでくる」とこれが訪問販売なのであれば、怪しさマックスのはずなのだが、ここはポルトガル。そして旅行中。何でも欲しくなるのは仕方がない。私は迷いもなく、ガロの絵柄の手鏡をレジに持っていっていた。

私の後ろに並んでいたお客さんも大きなガロを抱えてレジへ。

他の店でもお客さんの視線はみんなガロに一直線だった。もちろん、私の母親も。

街ですれ違う観光客もまた、カバンにガロのキーホルダーを付けた人を多く見かけた。

人は安心感を得るために、目に見える幸運を呼んでくれる物を持っていたいのだろう。

日本でいう「御守り」感覚なのだと思う。

しかし、どんなありがたい物にも絶対に勝ち目がない最強アイテムを私は知っているつもりだ。ただ、それを身に付けること、継続させることはとてつもなく辛い。

それは、カタチがない「努力」のことだ。

「努力」こそが人を味方につけ、自分を味方につけ、運を味方につけてくれる目に見えない最強のアイテムだと私は思う。

とはいえ、私は今も大切に「幸福」と「奇跡」を願いながらその手鏡を大切に使っているが(笑)

手鏡と、母親の買ったガロが付いたマグカップの入ったお土産袋を手にそんなことを考えていた。

みんなにとって「ガロ」のようなものはなんだろうか？

自分を守り、自信を与えてくれるアイテムは、本当は自分の考え方の中にあるのかもしれないなあ、と最西端の地から思うのだった。