「こんばんは。」
幸田校に現れたのは、新中1の新入塾生の女の子。
その日は新中2の授業の日。
僕の新中1の授業は翌々日のため、その時その子と初めて話をした。
「自習に来たのかな?」
「はい。」
そう答えた彼女と一緒に階段を上がり、自習室へと案内した。
「明日が高校受験だから中3生がたくさんいるけど、緊張せずにここを使ってね。」
そう言って一番後ろの列を案内した。
授業が終わり、目黒先生と片付けをしていた。
「新しく来た子、集中していましたね。」
と僕が言うと、
「自習時間に見に行ったら、机の上に消しゴムのかすがたくさんありましたね。かなり問題解いていたんじゃないかな?」
と目黒先生も感心していた。
「高橋先生。これ見てください!」
ふいに呼ばれてその子がいた席に行くと机の上がきれいになっていた。
「大量の消しゴムのかすが消えていますよ。」
僕は机の下を見た。普通消しゴムのかすは、無意識に下に捨ててしまうものだ。
入念に机の下や周りを見たが、すべて消えていた…。
“見た目は大人、頭脳はハンサム”で有名な僕『名探偵タナン』は、こう推理した。
この子は消しゴムのかすを、きちんとゴミ箱に捨てて帰ったのだ。
それは前に座っている中3生達が、机の上の消しゴムのかすを手で集め、ゴミ箱に入れているのを見たからではないか?
自習室で先輩達の後ろ姿を見て、後輩達が成長していく。
中3生達もかつての塾生達の背中を見てきた。
かつての塾生達も、その前のかつての塾生達の背中を見てきた。
それが夢現塾の塾生達の歴史でもあり、これからも続いていく未来の姿でもある。
新入塾生の女の子の瞳に映った大きな背中。
君がそれを伝えるのは、もう少し先の話…。
追伸:
もちろんこの子が入塾前から“キレイ好きであった”ということも考えられる…。
しかし勝手ながらその考察は、今はしないでおこう…(苦笑)。
それでも後輩達には『夢現塾の先輩』は、さすがだなと伝わっていく。
これはこれでいいのだ!!(笑)