目黒:なんか英語で歌える曲あるか?
生徒:ABCの歌!
目黒:それは認めない(笑)。せっかく英語やっているんだから、1曲くらいはかっこいい曲、歌えるようになろうよ。
小6英語授業の1シーンである。そんな呼びかけで毎年行っているのが、Wham!の有名なLast Christmas。夢現塾初年度、ジョンレノンのHappy Christmasを試みたが、あまりにキーが高すぎて歌いにくかったので、それ以降14年間、クリスマスシーズンに合わせてこの曲を練習している。
ラーストクリスマス アイゲイブユマイハー(ト)
バッザ ベリーネクストデイ ユーゲイブラウェイ
ディースイヤー トゥ セブミーフロムティアーズ
アイルギブイット サムワンスペシャル~♪♪
英語の横に書いてあるカタカナを見ながら、生徒たちは一生懸命歌う。塾に飾られているクリスマスツリーを横目に、ノリノリの歌声が妙にクリスマス気分を盛り上げる。
2年後、当時小6だった生徒も中2になる。そこで同じ質問をしてみる。
目黒:なんか英語で歌える曲あるか?
生徒:ABCの歌!
生徒:Last Christmas!
目黒:変わってないじゃないか(笑)。
そう、洋楽なんて聴く子はめったにいない。たまに、ご両親の影響だろう、マイケルジャクソンやビートルズの名が出てくるくらいで、ほとんどの子たちは邦楽オンリーである。だから、ちょっとずつ授業内で洋楽の紹介をしている。大阪桐蔭高校から中日ドラゴンズへの入団が決まった根尾くんじゃないが、よく口ずさむ曲を聞かれて「We are the world」がさらりと歌えるのはかっこいい(笑)。
高校入試くらいのリスニングにはほとんど必要ないが、それ以降のことを考えると、やはり洋楽好きな子はリスニングが得意である。
興味を持ってくれればと、いろいろと工夫をしてきたが、大切なネタ元を明かしてしまうと、「シャウト!金髪先生」という本、金八先生ではない、金髪先生である。ドリアン助川という洋楽好きのミュージシャンがテレビ番組で語った内容をまとめたものである。様々なミュージシャンがどういう生い立ちで、どうしてその曲を作り、どのようにして売れたのかを解説している。
いくつかはYoutubeに出てくるので、気になったらどうぞ。
マドンナの回なんて(今の子は全く知らないが)、最高に興味深い。彼女がスーパースターになった理由がよくわかる。
Youtubeには残っていないが、その影響でQueenのことを授業内で話題にしたことは山ほどある。
・世界で初めてミュージックビデオクリップを作成したこと
・医学・物理・数学・芸術などを学んだ、全員大卒という珍しいバンドだったこと
・ボーカルのフレディがゲイで、エイズで亡くなったこと
・フレディが死ぬ直前に、周りのスタッフ10人に何億円もする家をプレゼントしたこと
・それらのプレゼントを両親だけは受け取らなかったこと
・その両親が死ぬ間際のフレディに「いつまでもあなたを愛しています」と伝えたこと
・一番売れた「ボヘミアンラプソディ」という曲の権利を、エイズのチャリティ団体に寄付したこと
そんな彼らの伝説を表現した映画、まさに「ボヘミアンラプソディ」が絶賛公開中である。
封切後すぐに映画館に足を運んだ訳だが、本当に本当に素晴らしかった。興奮が止まらない。ここ数年見た映画の中でも傑作中の傑作だった。
ちなみに翌週、大好きな「Mr.Bean」の映画を見にいったが、こちらは同じ入場料金とは思えないくらい、つまらなかった(泣)。
映画を見た僕と安田先生の間に、久々のQueenブームが来ている。近いうちに宮下先生も見に行くらしいので、同じくブームになるだろう。
洋楽好きへの強いきっかけとなるだろうこの映画、少々中学生には衝撃が大きすぎるかもしれない。天才ミュージシャンの生きざまが、あまりにも壮絶で内容が濃すぎるからだ。高校生になってから見るくらいがちょうどいいかもしれない。天才が作品を世に送り出すことへの情熱、情念のようなものを感じ、魂を揺すぶられることは間違いないだろう。
それでは、まもなく冬期講座。
We will rock you.
俺らがおまえらを揺さぶってやるぜ。