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天の声(加)

2018.10.31

青い海、青い空、白い砂。そして遠くには青々とした島…

私は石垣島にバカンスに来ていた。

 

今回の旅の目的の1つは

『満点の星空と天の川を見ること』

 

「10月下旬までは天の川を観測でき、満点の星空を見ることができます。」

という謳い文句に飛びつき、星空鑑賞ならここが一番良さそう!というホテルを迷わず予約。

空港にも、フェリー乗り場にも、どこもかしこも「満点の星空」というタイトルと共に、美しい星空を眺める家族のポスターが貼ってあった。

 

本来であれば、旅行後にはきっとこの日報でその星空の美しさを伝えていたはずなのだろう。

そしてあわよくば流れ星が見られれば、「みんなの夢が現実になりますように」と願い事をかけておいたよ、みたいなカッコいいことも言えたのかもしれない。

 

しかし、秋風に凍えながらビーチのリクライニングチェアで星空を眺めている私の頭には、ずっとこの言葉がこだましていた。

「星を見るならちゃんと月齢を確認していかないといけないですよ」

旅行前の宮下先生からの助言だった。

 

月が明るすぎると星は見えない、ましてや、満月なんてなおさら明るい。

そんなこととは気にもとめず、

「島=暗い=満点の星空&天の川&流れ星」という脳内お花畑状態で、予定を組んだ私は完全にやってしまった。

 

岡崎よりも星が少ない夜空を眺めながら、私は明るく照らす月にではなく、自分のリサーチ不足さを恨んだ。

 

隣に座って夜空を眺めていたおばちゃん3人組も、きっと同じように満点の星空を期待してやって来たのだろう。

が、あまりの星の見えなささに、「あんたここサンゴ落ちてるでー!星の砂あるんちゃうん!」と夜空の星そっちのけで、砂浜の星に期待を寄せ始めてしまった。

 

レーザーポインターで一生懸命に説明してくれているお兄さんは、どんどん席を立ち上がって帰っていく宿泊者を目にしながら

本当はここからここに天の川がかかっているんですけど…」

本当はここに○○っていう星があるんですけど…」

本当はここに…」

「もう2週間くらい早ければ、本当は……」

本当は………」

と声もだんだんと申し訳なさそうな口調になっていってしまった。

 

そして2日目。

人気観光地「竹富島」観光の予定。

だったのだが、「今日は竹富島の人たちは島の住人総出でお祭りに参加するのでお店も一切開いてないですよー」

とフェリー乗り場で告げられた。

 

もうお解りだろう。

天の声のように響いてくるのはもちろんこの言葉。

「ちゃんと確認していかないといけないですよ」

 

ぁぁ…宮下先生、その通りでした…

 

リサーチ不足、これが私の旅行を狂わせた。

そして極めつけに「台風26号」の影響は楽しみにしていたすべてのツアーをキャンセルに追い込んだ。

 

「ちゃんと確認していかないといけないですよ」

旅行だけじゃない。勉強でもテストでも部活でも、何かするときは必ず下調べが大切だ。

どんな傾向の問題が出るのか、相手チームはどういう攻め方をするのか。

リサーチが扉を開く鍵になるときがある。

1週間の休暇を終え、心機一転、まずは期末テストの点数を取る鍵探しのためにリサーチをおこなっていこうと心に決めた休暇なのであった。

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