新学年が始まり、各学年の授業で
「クラス代表になりました。」
という声を聞いた一方、
「多数決で負けちゃいました。」
という悔しそうな声も聞いた。ある生徒は、最初の多数決で上位2人が同点となり、その2人で再度多数決をした結果、一票差で敗れたそうだ。
いずれにせよ、自ら立候補して代表になろうとする積極的な姿勢が本当に素晴らしいことだ。
ところでこの「多数決」という採決方法。限られた時間で結論を出す場合によく使われる。中3社会の「公民」の教科書にも決定方法の1つとして紹介されている。しかし、多数決は1つ(1人)しか選ぶことができない。甲乙つけがたいときでもどちらかを選ばないといけない。選挙でいう小選挙区制のパターン(1つの選挙区で何人が立候補しても当選者は1人だけ)だ。
この多数決とは別の決定方法として採用されているのがボルダルール。例えば4人の候補者がいれば、投票では候補者全員の順位をつけてもらう。そして1位4点、2位3点、3位2点、4位1点といったように順位ごとに点数をつける。最終的に合計点数が最も高い候補者が選ばれるという仕組みだ。
この場合、例えばA候補者は人気がある反面、アンチも多いとすると、多数決ではA候補者が選ばれる可能性が高い。一方のボルダルールでは、支持者がA候補者を1位と書く一方で、アンチは4位と書く。その結果、多くの人から2位と書かれたB候補者の方がA候補者の合計点を上回ることがあるのだ。このようにボルダルールでは、広く支持されている人が選ばれやすくなる傾向にある。
何かを決める場合は「全会一致」が理想であるが、なかなか難しい。だからこそできるだけ多くの人が納得するように、その時の採決方法を状況に合わせることも大切だろう。クラス代表を決めるとき、候補者が2人の場合は多数決、3人以上の場合はボルダルールにするというようなことだ。
このブログを書いているときにあることを思い出した。小学生の時の少年野球のある大会で、7回まで同点の場合は延長戦をせず、キャプテン同士のじゃんけんで勝敗を決めるという謎の決定方法があった。その時はじゃんけんに勝ったから良かったものの、今思えばとんでもない方法だ。
と過去の遺産だと思って調べてみると、今でもじゃんけんで決めることがあるらしい。近年の熱中症対策として、なるべく試合が長時間にならないようにとの配慮もあるだそうだ。
とはいっても野球の勝敗をじゃんけんで決めるのは、勝者になってもあまりうれしいものではない。野球は野球で決着をつけたいのが本音だろう。