2014年、「Let It Go(ありのままで)」や「雪だるまつくろう」など数々の耳に残る名曲や、愛らしいキャラクターで一世を風靡したディズニー映画『アナと雪の女王』(以下、アナ雪)。
私も何度か妹と一緒に映画館へと足を運び、「私はアナが好き」だの「お前はオラフだろ」だの、あーだこーだ言いながら帰ったことを昨日のことのように思い出す。
それから7年後の今年、2021年。
あのアナ雪が、劇団四季によって舞台として戻って来た。
テレビ番組での特集を軽い気持ちで見始めたのも束の間、数分後には心を震わせられている自分がいた。今までCGでしか見られなかったエルサの表情や人生を人間が演じることで、アニメに命が吹き込まれ、映画の時よりも、彼女の生き様に心をガンガン揺さぶられた私は、ほんの数分だけ映し出されたエルサの演技や歌の映像にただただ釘付けになっていたのだった。
そんなエルサといえば、今までのディズニー映画では表現されてこなかった「自己肯定感が低い」プリンセスとして登場する。「信じれば夢は叶うものだ」と謳ってきたプリンセスの時代を「物事はそんな簡単にはうまくいかない」とあえてぶった斬ってきたのがこのアナ雪なのだ。
生まれつき持っている自分の魔法の力を思うように抑えられないことを隠し、そして恥じ、嫌い、すべての人に心を閉ざすようになっていくエルサ。
一方、妹であるアナは魔法は使えないが、天真爛漫で自分に自信たっぷりの人柄を持ち、エルサとは真反対の性格として表現されている。
アナと違い、何もかもうまくいかないエルサは、自分は誰からも愛されない人間なのだと、自分の存在価値や必要性に疑問を感じ、家を飛び出してしまう。
細かい内容は本編でぜひ確認していただきたいが、紆余曲折ののち、最後には自分自身の価値観を取り戻していく。そして何よりもいつも側にいた妹こそ、ありのままの自分を愛してくれている存在であり、自分は愛されるべき価値があるということに気づいていくのだ。
歌やキャラクターがピックアップされがちではある作品だが、人気の裏側には現代人が共感できるようなプリンセスの存在が大きく関係しているようだ。
舞台化の影響で、久々に映画を見ることにした私だったが、7年前当時、名曲の数々に埋もれ気づかなかったこの映画の本当のメッセージ性がふと私の深いところに突き刺さった。
失敗して立ち直れない。なんかうまくいかない。ずっとこのままかも…
最近こんなことを思ったことはあるだろうか?
学業が本業の学生諸君はテストが終わった後にはこんな気持ちになることが多いのではないだろう。
大丈夫。誰だってそういうときはある。
誰もが完璧じゃない。
だからこそ、自分は「何をやってもうまくいかない人間なんだ」とエルサのように決めつけないでほしい。
そういう失敗してしまうところも、なかなかうまくいかないところも全部ひっくるめて自分であり、これから付き合っていく自分でもある。「こんなのもできない自分はダメなやつ」なんて否定しなくていい。「苦手だよね、これ。」と自らの負けを認めてあげ、ありのままの自分を受け入れることがまずは大切だ。そのあとは、「じゃあこれからどうしたらいいか」と自分で自分と対話をすること。そして、「こんな風に考えられる自分、偉いなぁ!」と自分を褒めてあげられる結論に辿り着けらればもう悩む必要はない。その考えを行動に移すのみだから。
また、君たちの陰には、アナのように、何があったとしても、どんな状況にいようとも愛を注ぎ見守ってくれている存在がいる。それに気が付くことができると、よりいい方向へと物事が変化していくはずだ。
ーこれでいいの 自分を好きになって
これでいいの 自分信じて
光あびながら歩きだそうー
映画『アナと雪の女王』より作中歌『Let It Go(ありのままで)』より