僕は完全なる「高所恐怖症」の持ち主である。遊園地最凶のアトラクションは観覧車であり、某テレビ番組で、女性タレントが絶壁を乗り越え世界の山々を制覇していく様子を見ると、寒気と震えが止まらなくなるほど『ビビリ』である。
高所恐怖症になった原因は、小学校5年生時の登山での経験がすべてであり、何気なく山頂の崖から下をのぞき込んだときに味わってしまった筆舌に尽くしがたい恐怖感が、今でも僕を縛り続けているのである。(写真参照:愛媛県にある石鎚山 標高1982m)
頂上のアップ(のぞき込んだのは左側の崖)
さて昨今、マンションから子どもが転落するという悲しい事故が後を絶たない。その背景にあるが「高所平気症」というものらしい。これは、いつも高い場所で生活している子供が高さの感覚に麻痺して恐怖を感じなくなる症状のことで、高層マンションの増加に伴い高所平気症になる子供が増加傾向にあるそうだ。
もともと子供は、自分の目で見える高さを基準にして「高い」という感覚を養っていく。ところが、あまりにも高い場所ではその高さを認識できず、「高い」という感覚がなくなってしまうそうだ。また、階段を使うことで感じる高い所まできたなという感覚が、エレベーターで瞬間移動することで鈍ってしまうらしい。その結果、高さに恐怖を感じない子どもが増え、ベランダなどの高い場所でも平気で遊べてしまい、事故につながってしまうというのだ。
経験する機会を失うことは大きな問題であるということを「高所平気症」が教えてくれている。学習塾の教師として、勉強を通して様々なことを経験し、学習し、成長していく子どもたちの姿を見るのは喜びである。夢現塾生には間違っても「勉強しなくても平気症」にならないでもらいたい。