1年前、趣味がないと嘆く私に、ある生徒がプロ野球観戦を勧めてくれた。WBCの感動も相まって、私が野球にハマるのにそう時間はかからなかった。
あれから1年。今年もスマホの画面越しではあるが、中継映像を観たりSNSで情報を掴んだりしながら試合を楽しんでいる。
そして、SNSには「アルゴリズム」と呼ばれる、興味が高いと思われる内容を自動的に表示させる仕組みがある。そのため、応援する球団のスタメンや得点後の選手のコメントなどを見ていると、フォローしていないアカウントの投稿でもお構いなく、野球関連の投稿がたくさん流れてくる。
先日、その流れで“バッティングをするときの力の入れ方”について、2人で会話しながら説明している動画を目にした。
まず、ひとりが手をグーに握って腕が地面と平行になるように前へ伸ばすよう言われる。それから「グッと力を入れて」と言われ、腕を伸ばした人は
肩から握ったこぶしまで全体に力を入れる。もう一人の指示を出す人は、その伸びた腕に自らの大きな手のひらをあてて、思い切り下へ押した。すると、
グゥンと押された腕は下へ大きく沈んだ。
「じゃあ次は手の力抜いてみて」次はそんな指示が出た。
腕は前に伸ばしつつ、手首から先はだらんと力が抜けた状態になる。そして「さっきと同じように
上から力をかけるから、その瞬間だけグッと力を入れてみて」と言われる。不思議そうな顔で腕を伸ばす人に、まあ見ててよ、と言うような顔をしながら、再び同じ場所に同じように力をかけた。今度は、
伸ばした腕はほとんど動かなかった。
「え!なんで!?」と興奮して驚く人に、「
だから、ずっと力を入れているよりも、ここだ!って瞬間に力を込めた方が打ち返す力を集中させられるんだよね」と説明をしていた。
私はそれを見て、面白そうだからバッティングに挑戦しよう!……とはならなかったが、純粋になるほどな、と思った。
学生時代の部活ではバレーボールをしてきたが、ボールをレシーブするときも、スパイクやサーブを打つときも、ボールと自分が触れるその瞬間にグッと力を入れ、それ以外の時間はある程度力を抜いていたほうが、自分の動きもボールのコントロールも良かったのだ。
そして、これは勉強とも共通する部分があるのではないかと思った。
四六時中勉強をしている、勉強のことを考えているというのは、先に説明した、ずっと腕に力が入っている状態に近い。
これから、小学生は新年度最初のMJテスト、中学生は新年度最初の中間テストがやってくるが、寝る間も惜しんで勉強…という生活にはならないよう、頭や身体を休める時間もしっかり確保してほしい。食事のときはしっかり噛んで味わって食べ、お風呂ではしっかり身体を温めてほぐし、十分な時間睡眠をとる。誰かと話したりテレビを観たりする何気ない時間も必要だと思う。
そうやって力を抜く時間があるからこそ、頭の中が整理されて、「よし、勉強しよう!」「テスト頑張るぞ!」となったときにグッと集中することができる。
ただがむしゃらにやるのではなく、力を入れるときと抜くときのメリハリをつけながら、質の高い勉強を目指してほしい。そして、夢現塾生がMJテスト・中間テストで良い結果を出し、良い1年のスタートを切ってくれることを願っている。