この前の授業で給食の話になったときに、よくある流れで「好き嫌い」の話になった。きのこや貝類など苦手食材ランキングに出てくる定番のものがあげられる中、今回は「ナス」が嫌だ!という意見が多かった。どうやら少し前に給食で出たナスを使った料理のパンチ力が、生徒たちの心を粉砕したようである。
「一富士 二鷹 三茄子(いちふじ にたか さんなすび)」
初夢で見ると縁起が良いとされるものの筆頭は富士山である・・・という書き出しで以前ブログを書いことを思い出した。縁起が良いとされるナスが一部の生徒たちに不評を買っている。
ナスが縁起が良いとされるようになった理由は諸説ある。「ナス」が「成す」を表す説やナスは実がよくなるので子孫繁栄説など。また、有力な説のいくつかは岡崎市の英雄「徳川家康」が絡むもので、家康の好きなものを並べたという説や、家康が晩年城を築いた駿河国(静岡県)の名物を並べたという説。そして同じくその駿河国で「高い」ものを並べた説がある。
富士山が1番「高い」のは明白だ。2つ目の鷹は「愛鷹山(あしたかやま)」と呼ばれる山。ここまではいい。3つ目の「高い」ものはなぜかナス。ナスは縁起物として誰よりも早く初物を手に入れるという謎のブームが江戸の町で起きたらしい。今でも大間のマグロや果物などの初物はとんでもない値段がつくことがあるが、当時のナスの初物も今の価値で10万円になったそう。そんなナスはなんと賄賂(わいろ)にも使われそう。
新教科書になった小学生5年生の「初物」の物語に『おにぎり石の伝説』という話がある。おにぎりの形をした石が「珍しい」とされ、あるクラスでその石を集めるのがブームになるというもの。
謎のブームは時に人の心を狂わせてしまう。ナス嫌いの生徒たちにとっては、ナスを賄賂でもらって喜ぶ姿は理解しがたいだろう。