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観天望気(渡)

2024.04.10

一昨日の激しい風雨で、満開だった桜の多くが散ってしまった。とはいえ、桜の花びらが風に吹かれて舞う様子も風流なものである。

 

時は約1800年前。諸葛亮(しょかつりょう)が七星壇で祈りをささげると、東南(南東)の風が吹き始める。孫権の船団はこの風に乗って火攻めを行い、北西に位置していた曹操(そうそう)の軍船を焼き尽くした・・・。「赤壁(せきへき)の戦い」と呼ばれるこの戦いの敗戦によって曹操の勢いが弱まり、のちの三国時代(魏・呉・蜀)につながっていく重要な戦いであった。

上記の記述は「三国志演義」のもの。諸葛亮はもともとこの時期に東南の風が吹くのを知っていて、雲などの動きなどを観察し、風が吹きそうなタイミングで祈りをささげるパフォーマンスをしたという。いわゆる「観天望気」と呼ばれるものである。

※「三国志演義」はこの戦いから1000年以上後に作られた小説で、この風を起こすエピソード自体が史実ではないとされる。ちなみに教科書に出てくる邪馬台国の卑弥呼でおなじみの「魏志」は、小説ではない正史「三国志」の中の魏の歴史書のものである。

 

「観天望気」とは、雲や風など自然現象を見たり感じたりして天気を予測すること。「燕(ツバメ)が低く飛ぶと雨」「夕焼けの翌日は晴れ」などは有名な話だ。天気予報がなかった時代から経験によってことわざのように受け継がれてきた。特に天候に左右されやすい農林水産業に携わる人たちは、日々の研究を積み重ねた観天望気を活用して生きてきた。受け継がれた多くの観天望気は、現在の気象学を当てはめても科学的な根拠があるという。

 

天気が微妙な日の生徒の送迎時は空の様子が気になる。観天望気の1つに「黒い雲があるときに、突然の冷たい強風が吹くと積乱雲が発達し豪雨が迫る」というものがある。年に何度かあるそんな状況では特に自転車通塾組のことが心配に。ほんの数分の違いでずぶ濡れになってしまうことも。どうか塾に着くまでは雨が降りませんように!

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