今年、夢現塾は20年目という節目の年だった。本当にあっという間だった。何もなかった焼肉屋の2階で、高橋先生とワックス掛けをした日がついこの前の気がしてならない。いろいろな出来事があり、何度も苦しみ悩んでもきたが「生徒第一主義」という開塾時の決意を胸に、とにかく突っ走ってきた。大変幸せなことに、多くの生徒・卒業生・保護者、そして同志に恵まれ、激しい学習塾競争の中で何とか生き残れているのは本当に感謝しかない。
毎年、2月の創立記念日には高橋先生と二人だけで食事に行く。コロナやインフルエンザの流行で、今年は延び延びになっていたが、先日やっと市内の大人気お寿司屋さんに行くことができた。二代目店主の方のお話がとても印象的だった。厳しかった修業時代のこと、効率的だと考えられる現代にマッチした修行方法など興味深いものだった。そして、衝撃を受けたのは、昔は160店舗あった岡崎市内のお寿司屋さんも現在は30店舗ほどに減少したとのことだった。どこの世界も競争は大変であり、いつかそんな世界に進んでいく子供たちを、逞しく、しっかりと鍛えてやらなければ…と高橋先生と話していた。
生徒たちが軽く使う言葉に「〇〇君は天才だからいいなー」がある。学生時代のアルバイト塾教師から34年、相当数の生徒を指導してきたが、いわゆる「天才」だと感じた生徒は二人だけである。数ページ程度の内容ならば「画像」として簡単に記憶ができ、家では全く勉強しなくても、当然のように中学で学年1位が取れる。トップ校に進学し、そんなに努力せずに東京大学へ進学した。
このような子はごくごく稀で、優秀な生徒たちのほとんどはしっかりと努力している。夢や希望に向かって歩む。岡崎高校で1位をとる生徒にも何度も会ってきたが、99.9%がそうである。
実際、優秀な子たちには優秀な子たちの大変さがある。中学で成績上位を取ってトップ高校へ進学する。そのトップ高校の中でさらに努力を重ねる。そしてトップ大学へと進む。さらに優秀な子が集まるから大変だ。そこでさらに努力する。そして、超一流企業に就職する。さらに優秀な同期、先輩、後輩と仕事をしていく…。それはそれは大変な世界だろう。
かつてこんな生徒がいた。中学は大して勉強せずに学年1位の常連、岡崎高校に進学しても大して勉強せずに常にベスト10、そして、あまり努力しないまま京都大学理学部へ進学した。そんな周りから見たら天才だと思われていた彼の話である。
「高校までは勉強に自信があったんです。俺はできる!って信じていたんです。でも、京大に入ってみると、僕が三回聞いてやっと理解できることを一回で理解する奴らがちょこちょこいたんです。ビビりました。初めて焦りました。だから大学では本当に努力したんです。昔、面談の時に目黒先生に言われました。『お前は中学ではそんなに勉強しないでもトップにいられる。岡崎高校でも、ひょっとしたらそのまま行けるかもしれない。ただし、いつかすごい奴らに絶対会う。その時はしっかり努力するようにしろよ。それを約束しろ。そうしたら本物の優秀な奴になれるから』って。俺、ちゃんと努力できるようになりました。」
そんな彼は現在、厚生労働省の官僚として活躍している。
夢現塾公式LINEを通じて、先日、懐かしい卒業生からも連絡が来た。彼は六名校開校時に新中1生として入塾した。いつもお洒落な服装をし、負けず嫌いで、ユーモアのある、頭の回転が速く、イケメンの色の白い少年だった。ちなみに、夢現塾初の竜海中1位を獲得してくれたのは彼だった。岡崎高校へ進学し、その後、文系の最高峰である東京大学(文一)へ進んだ。
目黒先生お久しぶりです。高橋先生と廣瀧先生もお元気そうで何よりです。クソ生意気な中学生をしておりましたSです。今も職場で生意気だと言われています(笑)。
たまたま中学の同窓会が年始にあり、そういえばと夢現塾のホームページにアクセスしたところ公式LINEの存在を知りました。
日報で僕の知らない先生方の15年間を拝見して胸が熱くなりました。僕も30才ですので、目黒先生は永遠の29才だったかと思いますが、先生方が夢現塾を作られた年齢ぐらいになりました。この年になったからこそ先生方がどれだけ凄いことを成し遂げてきた、成し遂げているのかがよく理解できます。
あまり地元に帰っていないのですが、六名校の前を通りかかると当時の思い出がフラッシュバックして懐かしいようなつらいような気持ちが込み上げてきます。おそらく中学生時代の自分が今の自分を見たら鼻で笑いそうな感じがするからだと思います。お前はまだ足りないもっとできるはずだと中学生の自分から圧をかけられている気がしてならないのです。自分にまだまだ期待していることの表れだとも思いますので、夢がなんなのか最近は行方不明気味ですが、夢+努力=現実でステップアップしたいと思います。
近況ですが、現在駐在員としてロンドンで働いています。2023年の3月に来たのですが、高校時代まで海外なんて考えたこともなかったものの大学時代に欧米に行きたいと思ったことをようやく掴み取った形です。勤務先は色々と競争も激しいので、自分のやりたい仕事×欧米軸のわがままを通すのには大変苦労しました。
仕事内容は東京時代から引き続き、例えば洋上風力発電所、空港、LNG船といった大規模インフラ開発へのファイナンス組成です。正確にはプロジェクトファイナンスと言います。わかりにくいので銀行の法人向けの融資の案内や書類作成をしている方々を想像いただければ規模感以外は概ね変わらないです。チームでたった1人の日本人ですし、いまだに英語が饒舌ではないので苦労も多いのですが、昨日の自分に負けないように奮闘中です。
また、働きながらですがロンドン大学の大学院で発展途上国向けビジネスを専攻しています。東アジア人がクラスに1人もいないので、日本人というより東アジア人という感覚が最近強くなっているのですが、それでもやはり岡崎市六名出身というのを誇りに思っています。
長くなりましたがすべては目黒先生のドラゴン桜含めて先生方が我々生徒の前で広い世界を語ってくださったときに始まったと思います。小中学生そして高校受験を経た生徒の皆さんが将来何をしたいのかは様々だと思いますし、今は目の前のことに集中いただければと思いますが、大人が子供たちに夢を語るのはとても重要なことだと思います。インターネットを使えば何でも調べられる時代ではありますが、教室で受けとめる熱意や情報は子供たちにとって間違いなく重要なことだと信じています。
誰かに夢を語れるほどまだまだ自分が何かを成し遂げたとは思えませんが、僕もいつか学校で先生をやっている友人に頼み込んで学生に何かを語れたらなと想像を膨らませています。また、先生方にあのSを輩出した塾だと授業での話題の一つに選んでいただけるようにできたらなとハードルの高いことも想像しております。
これからも卒業生としてお邪魔させていただければ幸いです。
追伸。2024年1月2~4終日は地元にいるのですが、僕の間が悪く皆様休校日のようなのでまたお伺いさせていただければと思います。
※本人に掲載許可は貰っています。
この後のLINEのやり取りは省略するが、彼は東大卒業後にメガバンクに就職し、ロンドンで奮闘努力しているようだ。LINEの中で「生意気」って書いてあったが、意識の高い、僕らが大好きなタイプの前向きな「生意気さ」を持った子だった。今回はスケジュール的に会えなくて本当に残念だが、いつかさらに成長した彼に会って話をじっくり聞きたい。そして、塾生たちに刺激的な何かをぜひ語ってもらいたい。欲を言えばもっともっと偉くなってくれたら夢現塾の貯金口座任せて、利息優遇してくれるとありがたい(笑)!!!
この数日後、またしても岡崎高校から東京大学(文一)に進学した女の子から夢現塾公式LINEを通じて「近況報告」が届いた。文面を見ると、春から世界的なコンサルタント会社
「マッキンゼー」への入社。高橋先生も宮下先生も「マッキンゼーだと!すげ~!!!」と大騒ぎだった。
ちなみにわかっていない生徒諸君用にわかりやすく伝えると、世界レベルで給与が高い会社である。具体的には、2023年度の日本の平均年収は458万円であるが、マッキンゼーは新卒で入社して3年目には年収1,000万円、そのまま順調に昇進すると5年目には年収2,000万円、早ければ10年目に年収5,000万円以上が期待できるとの、羨ましい会社だ。ただし、仕事に対する要求は当然高く、「100メートル走のスピードでフルマラソンを走るような会社」だと評する人もいる。宮下先生は「彼女なら大丈夫ですね。自分の授業をしっかりと聞きながら、隣の教室の先生の小話を聞いて笑っている子ですからね。同時に複数のタスクのできる子なんですよ。」と、当時の思い出を語っていた。頼もしい限りだ。
学習塾もお寿司屋さんもメガバンクもマッキンゼーもどの世界も、その世界ならではの大変さが存在する。どんな世界へ行ってもしっかりと戦えるように、強く、逞しくなるよう、生徒たちを鍛えていきたい。夢現塾は「頭と心を鍛える総合学習塾」である。
最後に、保護者の皆さま
日頃より我が塾の方針を理解し、ご協力を賜りまして誠にありがとうございます。
来年も全力で生徒たちと向き合います。どうぞよろしくお願いいたします。
良い年をお迎えください。
以下は、毎年楽しみにしているカロリーメイトの受験生応援CMです。