インフルエンザと新型コロナウイルスが同時流行している。
インフルエンザも新型コロナウイルスも隔離期間は、現在は発症の翌日から最低5日間。発熱すると世の中から『隔離』となる(2020年時の新型コロナウイルスの隔離期間は発症の翌日から10日間)。
熱があっても元気だろうが、熱が下がって元気だろうが、症状もなく元気だろうが、陽性となった時点で数日間は『隔離』となる。
半年前までは『濃厚接触者(新型コロナウイルス陽性となった人と一定期間に接触があった人)』というものがあった。該当者は、3日~17日(時期によって変化)の待期期間という名の『隔離』。
突然の外出禁止である。自分が元気であっても、外に出てはいけない。
“流行り病”とはいえ、数日間の外出禁止は生活に大きな影響を与える。
大事な予定があったとしても、症状がなかったとしても、外に出ることができない。
塾生で部活の最後の大会に出られなかった子がいた。
塾生で修学旅行に行けなかった子がいた。
塾生で卒業式に出られなかった子がいた。
塾生で入試を受けられず、合格発表の日に友人たちと一緒に喜べない子がいた。
その子たちに向け、僕は教師として何を言ってあげられるのか、とても悩んだ。
人生の先輩として何を伝えてあげられるのか、とても悩んだ。
「しょうがないよ」
という言葉は使いたくなかった。
手洗いやうがいやマスクをしていても、気をつけていても感染してしまうこの病気。
“人生の大事な機会”の日に『隔離』となってしまった子に
「しょうがないよ」
と、その言葉で終わらせてしまって良いのだろうか?
「今回はしょうがないよ」
という励ましの言葉は、頑張り抜いた上で力及ばずの時にこそ使われるものではないのか。
そう思い、僕は子どもにかける言葉について考え、その後もそれが良い言葉であったかを再考する日々が続いている。
失敗には原因がある。その原因を分析し対策し改善し未来に繋げる。
しかし今回の流行り病は、それらの機会も与えてもらえない。
思い出も作らせてもらえない。
成功も失敗もさせてもらえない。
失敗から学ぶことができない中で、子どもたちは何を学べば良いのだろうか?
諦めるということを学ぶべきなのか?
どうしようもないことがあるということを学ぶべきなのか?
この現状で子どもたちは、何を学び成長するのであろうか?
こんな環境だからこそ、僕は『教師力』と『人間力』を磨いていこうと考え日々生きている。
こんな環境の中でも、子どもたちに成長してもらうために。
こんな環境を笑って振り返る、素敵な未来を迎えるために。