最近、ある用事があって高校時代の友人と連絡をとっていた。
それを機に、自分の高校生活を思い返してみると、たくさんの失敗と少しの成功体験。楽なことばかりではなかったが、それでも楽しかったと思えるのは、周りの人や環境に恵まれたのはもちろん、学ぶことが本当にたくさんあって、文字通り「充実」していたからだろう。
そんな学び多き3年間だったが、今でも時折思い出して自分の心の支えにする話がある。それは、高校3年生の春、退任式にて、ある先生がされた「止まり木」の話である。
さすがに一言一句完璧に覚えているわけではないので、自分の言葉を付け加えながら、皆さんにも紹介したいと思う。
大空を優雅に飛び回る鳥。一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。
背の高い建物よりももっと高いところにいて、空を見上げれば、誰もがその姿を見ることができます。多くの人が、一度は鳥のように空を飛びたいと考えたことがあるんじゃないかなと思います。何時間も飛び続けることができる鳥だっているし、賢い鳥もいて、私も鳥ってすごいなと感じたことがあります。
でも、私は、「止まり木」もすごいなって思うんです。
「止まり木」というのは、「鳥が羽を休ませるために鳥かごなどに設置した木のこと」で、そこから派生して、「疲れを癒す存在」「落ち着く存在」という意味でも使われています。
とはいえ、所詮ただの木やその枝であり、注目を浴びたり、主役になったりすることは滅多にありません。ただ、静かに、そこに存在しているだけです。それでも、常に休むことなく飛び続けることはできない鳥にとっては、なくてはならない存在。それが「止まり木」です。
目立たず鳥の生活を支える、そんな意味で「止まり木」もすごいなと感じたのです。
私は、別に目立たなくていい。先頭に立てなくていい。誰もが知っているような存在になれなくてもいい。多くの人にとっては、私は興味のない存在かもしれないけれど、鳥にとっての「止まり木」のように、どこかで私のことを必要としてくれる人がいたら、こんな私でも誰かのためになれたら、私はそれだけで嬉しくて、幸せだと思います。
この世界には、いろんな人がいます。人の前に立つ仕事や役割をもつ人もいれば、誰も気付かないところで頑張っている人もいます。輪の中心にいること、集団の先頭にいること、何かの代表であること、積極的に前に出ること、それらはもちろん素敵なことです。しかし、人の価値を決める全てではありません。
もし、あなたが人前に出るのが苦手で、自分に自信をもてないなら、そんなあなたにこそ、この話が響けばいいなと思います。
誰かを陰で支えることも素敵なことです。そういう方法で誰かのために頑張ることも幸せだと思えるようになったら、また少し、あなたの人生が明るくなるのではないでしょうか。
受験や就職活動において、何かの先頭に立ったり、集団の代表になったりした人がすごいと思われやすく、あまり前に出ることが得意ではない私は、何度も自信を失いそうになった。しかし、その度にこの「止まり木」の話に支えられた。
陰で頑張っているあなたのことをちゃんと見ていて、ちゃんと認めてくれる人、感謝してくれる人が、必ずいる。私自身、目立たなくていいとは思いつつ、私が陰で動いていることに気付いて「ありがとう」と言ってもらえることが、幸せだと思える要因の一つだと思っている。
そして、私も、自分がそうしてもらったように、陰で支えてくれている人に対して、感謝を伝えられる人になりたい。