『成積が上がりますように』
七夕の短冊や絵馬に書かれてあるのを見ると心が痛む。成
績は上がっても成
積は上がらない。いや存在しない。これは他人に指摘されると赤面級の恥をかくので、塾生には「成績の漢字を間違えるようでは成績は上がらないぞ!」と機会があるごとに注意喚起を行っている。
『俺は完壁(かんぺき)な人間だ!』
かっこいいセリフに見えるが、これも実は赤面もの。完
壁ではなく完
璧が正しい。これを書き間違えた時点で完璧ではなくなるので、卒業文集など一生残るもので「完璧」を使う場合は特に気をつけて欲しい。
壁も璧も同じ「ヘキ」と読む漢字で、下の部分が「土」と「玉」とほんの少しの違いである。しかし、「壁(かべ)」ではダメなのだ。璧というのは中央に穴を開けて円盤状に磨き上げた宝玉のことで、完璧の語源は次のような故事からである。
昔、中国の戦国時代(今から2000年以上前)、趙という国の王が、和氏の璧(かしのへき)という名品を手に入れた。これを聞きつけた強国の秦という国の王がこの璧を欲しがり、15の城(街)と交換したいと趙の王に持ちかけた。ただしこれは脅しのようなもので、秦に璧を持っていっても実際に璧と城とを交換できる保証もなく、璧だけが奪われる可能性が高く、話を断れば秦に兵を出されて趙が攻められるという、趙の国にとっては難題をつきつけられた格好である。
その際に秦を相手に交渉役を買って出たのが藺相如(りんしょうじょ)という人物で、「完璧帰趙(璧を無事に趙に持って帰る)」と宣言し、彼は宣言通り秦に持っていった璧を命がけで守り、傷1つつけることなく趙に持ち帰ることに成功した。
これが完璧の由来である。壁(かべ)ではダメな理由が分かっただろう。熟語の漢字1つ1つの意味や語源を知れば、漢字の間違いも確実に減っていく。
さあ、小学生は夢現塾名物の「漢地獄」(漢字テスト)が待っている。完璧を目指して頑張ろう!
↓日本で出土した中国の璧