「人生は生きるに値する」
日本最大級の劇団である劇団四季の創設者、浅利慶太氏の言葉である。
68年前の創立時から現在まで、劇団四季が新作上演の選定の基準にしているのが「人生は素晴らしい、生きるに値する」というメッセージを作品が宿しているかどうかだ。
現在、新型コロナウイルスの影響で、大打撃を受けているエンタメ界。
「こんな時に舞台なんて必要ない。」というネットでのコメントに遭遇した時は、舞台を愛する者としては落胆したのは言うまでもない。
自粛、自粛と叫ばれ続け、早1年。
劇場が好きすぎる私は、特に用事がなくとも、名古屋に行く時には必ず、劇団四季が運営する四季劇場の前を横切ることにしている。
誰もいない静まり返った劇場前。
時間帯によっては、その日の公演を観終わった感想を言いながら写真を撮っている場面に遭遇できる。
「あそこすごかったよね…もう声がさ…」
「次はあれ観に行きたいね!」
人々の心に残る素晴らしい歌、素晴らしいセリフ、素晴らしい脚本、その全てが相乗効果となり、彼ら彼女らの「明日を生きる活力」となる。
舞台にはそんな力があるのだ。
「こんな時に舞台なんて必要ない。」
一方で、「こんな時こそ舞台が必要なんだ。」という声もあるのも事実だ。
名古屋四季劇場の横にはこんなポスターが貼ってある。
「人生は素晴らしい、生きるに値する」
だからこそ、元気や感動を分かち合い、明日を生きる活力を与えたい。
このたった7文字には、それが強く込められている。
「この感動を、力に。」
私は舞台人ではない。しかし、人生の先を生き、子供たちを導く先生として、教壇に立っている。
一昨日開かれた卒業生を送る会を経て卒業をしていった、現中3生。長い子で5年間携わった子もいる。
合格発表を迎えたその日、彼らは何を思い、何を感じたのだろうか。
これから生きていくうえで、沢山の壁にぶつかるだろう。たくさんの辛いことも待っているだろう。しかし、そんな時は思い出してほしい。
「あの合格発表の日を、力に。」
「あの夢現塾で過ごした日々を、力に。」
新たな明日が君たちを待っている。
– 夜はいつか終わる。日はまた輝き、空は晴れていく。光は溢れて… –
ライオンキング劇中歌より「終わりなき夜」