長い塾教師人生の中で、最も多い相談は「どうしたら成績が上がるのか」ということだ。様々な意見があるのは承知の上で書きたいと思うのだが、「そのためにどうしたらいいのかを、自分で考え、工夫すること」が最たる方法だと思っている。
もちろん、周りにアドバイスを求めたり、方法論を検索するのも一つの手ではあるが、それらを元に自分で取捨選択し考える必要がある。その習慣がある子はすぐには結果に結びつかなくても、いずれ必ず伸びてくる。
一方、何でもかんでも、小さいころから親に助けられてしまっている(親が助けてしまう)子はちょっと心配だ。
極論を言えば、小さな頃から、朝は起こしてもらい、小学校に行く服装も親に選んでもらい、食事の準備をしてもらい、忘れ物の確認をしてもらい、帰宅したらおやつが置いてあり、宿題の箇所も親に真横でチェックしてもらい(下手すると、手取り足取り教えてもらい)、連絡帳の中身も確認してもらい、翌日のランドセルの中身の準備もしてもらい、夕食の準備をしてもらい、お風呂の後のパジャマも下着も準備してもらい…と、こんな状況に育ってしまうと、考える力が育たないのは当然だ。流れ作業の中にいるだけだ。自分で考え、工夫する機会から完全に遠ざかってしまっている。低学年ならまだともかく、高学年以上ならば、ぜひ自分のことは自分で考え、工夫し、行動してほしいと心から願う。考える習慣を持つことが必要だ。
まもなく冬期特訓講座が始まる。お陰様で、今年度も120名以上の新たな講座生がやってくる。講座は入塾試験を受ける必要がなく、誰でも参加できる特別期間だ。そうなると、ちょっと難しい問題を出すと、上記の状況がはっきりと分かってしまう。自分で考えられる子は、何とかしようと一生懸命に取り組む。その習慣がない子は諦めた表情で思考停止してボーっとしてしまう。小5生でも大きな力の差があるのは、能力よりもこの部分の方が大きいと感じる。ただし、そんな時こそ、僕らプロ教師の腕の見せ所だ。授業中、ありとあらゆる方法でいろいろと盛り上げていきたい。そして、頭を徹底的にフル回転させてあげたい。
独断だが、本当に優秀な子の条件(中学生レベル)は以下の感じだと思う。
〇朝は自分で起きられる。
〇自分のことは自分でやる。
〇知恵を絞って工夫しようとする。
〇時間の使い方が上手い。
〇難問を簡単に諦めない。
〇ユーモアがある。
そう、これは社会に出ても必要な大切な能力だ。勉強を通して、様々なことを学んでほしい。夢現塾の最大テーマは「頭と心を鍛える」である。生きていくための力を少しでも長く伸ばしてあげたい。