「
笙(しょう)」という楽器をご存知だろうか?
初めて笙を見たのは小学1年生のときのこと。叔父の結婚式であった。ピアノを2歳から始めていた影響あってか、音楽や楽器、歌がとにかく大好きだった私は、和装の叔父、叔母そっちのけで不思議な姿をしたその楽器を食い入るように見ていたことを今も鮮明に覚えている。
そして、中学生へと成長した私が音楽の授業で出会ったのが「
雅楽」だった。
美しい音色を奏でる「篳篥(ひちりき)」や、「竜笛(りゅうてき)」そして「笙」など… クラスメイトが眠そうにしている中、授業中に見せられたその雅楽の舞台映像にひとり釘付けになっていた。
大学生になると、京都旅行をした際には観光プランにわざわざ雅楽会があるという立命館大学の学園祭を組み込み、演奏を聞くために足を運ぶほど私の「雅楽」への興味が止むことはなかった。
その「雅楽」において、代表的な楽器である「
笙」。
笙には、見た目通り17本の竹があり、それぞれ「
千・十・下・乙・工・美・一・八・也・言・七・行・上・凢・乞・毛・比」という名前がついている。
顔の前に構えた状態で吹く楽器のため、演奏の際には手を直接見ながら吹くことが不可能である。そのうえ、複数の竹を指で支えながら、音階を奏でるとてつもなく小さな指孔(ゆびあな)を押さえなければならない。もちろん、ただ孔を開閉するだけではない。指を擦り放すといった方法でその孔を押さえなければならないのだ。この至難の業をこなすことに慣れるまでは、やはり相当な苦労を要するそう。
中でも「
乞(こつ)」は吹き口の向かい側に位置していて演奏中にはまったく見えない位置にある。さらに、この竹を押さえる担当の指は、我々が持つ指の中でも群を切って言うことを聞かない「左手の薬指」なのだ。
直接見えない、かつ1番遠い位置にある小さな小さな孔を、左手の薬指で押さえることは、笙を持ったこともない私でも分かるほど、想像を絶する難しさなのだろう。
そんな「乞」を一丁前に扱って演奏することができるようになることを『
乞をつかむ』というそうだ。
『乞をつかむ』と聞いて、今まで君たちが経験してきたことの中には『コツをつかむ』エピソードは何かあるだろうか?
初めて自転車に乗れるようになった時のこと、縄跳びを跳べるようになった時のこと、ボールを操ったり、楽器を演奏したり… 君たちはいろいろなことに挑戦しながら、その中で自分なりにコツをつかんで、今は難なく出来るようになったことが多々あるのではないだろうか。
コツは自分で自然と生み出すものであるが、時には人から教えてもらえる機会もある。その伝授されたコツを活かせるかは自分次第ではあるのだが、その
コツを元にそこに努力を重ねることで、成功への道が開かれるのだ。
12月。気づけばもうすぐ冬期講座が始まる。
ここで君たちは「コツをつかむ」機会が得られるだろう。そう、「
勉強のコツ」だ。
夢現塾の教師たちが伝授する「コツ」を自分のものにし、活かし、そして「
コツコツ」努力してくれることを願っている。
充実した冬休みを送る「コツ」はあるかって?
この冬期講座に本気で臨むことだよ。