光栄なことに、多くの同業者の方々にブログを読んでいただいていると聞く。だからこそ少しでも思いが伝わればと、正直な気持ちを書きたい。
夢現塾ブログを始めてから15年目、初めて同業者の方々向けの内容である。
同業者の方々なら理解してもらえると思うが、模試返却時に「ん?」と思うことがほんのたまにある。
今まで偏差値50前後だった生徒が70近くまで急上昇する。これ、「やったー!すごいぞ!」などと単純には喜べない。「何か問題情報を掴んだのでは…」と疑ってしまう。
夢現塾では基本的に座席は成績順である。かわいそうなのは、その数値を鵜呑みにして座席替えをすると、大変なことになってしまうことだ。授業中、周りがサクサク答える中、答えられず下を向く。そういう状況がその生徒を追い込んでしまうのだ。
だからこそ、かなり疑わしい場合には、先に尋ねるようにしている。「今回の素晴らしい模試結果だと、座席、こうなるけど大丈夫か?」と。たいていの生徒は「すみません。他塾の子から、少し問題情報が入ってきて…本当にすみません。」と泣き出す。「知りたい気持ちはわかるけど、いきなり急上昇はまずいだろ…もうちょっと考えてやれよ!」と、大笑いしながらも二度としないように指導してきた。正直、このようなことが毎年1~2回はあった。
ある塾においては、「先生が監督中に寝ているから、模擬試験中メールで答えを教えあっていた」なんていう、にわかには信じがたい話が塾生を通して耳に入ってきたこともあったが、「そんな奴らは放っておけ!タメにならんわ!偽りの偏差値に苦しめ!」と一蹴していた。
ただしここ数年、SNSなどの広がりによって、模試の存在が危惧される事態に黙ってはいられなくなった。
ご存知の通り、僕らが参加している愛知全県模試は県最大の模擬試験である。中3生となると、30000人以上もの生徒が受験し、多くの学習塾が、この模試結果を進路指導に役立てている。
例えば、次の冬の模擬試験、夢現塾では、中1生が12月18日、中2生が12月19日、中3生が12月30日に実施予定だ。
様々な塾のそれぞれの予定があるので、試験期間は指定されているものの、試験日は各塾に任されている。僕らみたいな参加塾の塾内試験期間は12月15日(土)~1月6日(日)で、会場試験の場合は12月23日(日)に名古屋地区6会場、12月26日(水)に岡崎地区1会場、さらに1月5日(土)に名古屋地区1会場で行われることになっている。
仮に、初日の12月15日(土)に受験をした生徒がSNSなどに問題や解答を載せる。すると、同じ学校のみならず、部活動の大会・同じ習い事などで他校の生徒にまで次々と広まっていく。なぜこのような現象が起きるのか。それは、学習塾によっては周囲の他塾のことを考えずに、問題回収せず、模範解答をすぐに配布する所があるからだ。情報が氾濫する時代において、生徒の良心に従うなんて、悠長なことを言っていられる状況ではないのだ。
スマホ所有率が高くなる高校においては、さらに大変なことになっているようだ。大規模な模擬試験であっても、同日同時刻開催は不可能だろう。先と同様に、いや僕らの想像をはるかに超えるレベルで、問題内容が出回っているようだ。SNSに模範解答を載せると「神」と崇められるらしい。さらには、メルカリに出品までされていると言うから驚きを通り越して呆れる。高校の先生方も頭が痛いだろう。偽りの偏差値70以上の生徒には、全員一人残らずに、東大京大を受験するように勧めてもらいたい(笑)。
愛知全県模試に参加している同業者の方々にお願いです。
少なくとも以下のルールをしっかりと守って(守らせて)いただけないでしょうか?
・どうか模範解答は実施期間終了後に配布するようにしてください。
・どうか試験問題は一旦回収し、実施期間終了後に返却してください。
・どうか問題内容に関する口頭・SNSなどでの情報提供をしないよう、生徒たちに指導をしてください。
どうかお願いです。以上の3点を、担当教師・塾生たちに徹底していただきたいです。中学からの徹底指導が、高校での模試環境にも繋がると信じます。
子どもたちがその時点での状況を正しく把握し、高校入試本番に真の実力を発揮できるよう、公正な模擬試験実施にご協力ください。子どもたちのためです。よろしくお願いいたします。
最後になりますが、忙しい時期に突入します。お互い心身の健康に留意して、生徒たちとともに駆け抜けましょう!
夢現塾塾長 目黒義浩