「学芸会」。
小学生からは、最近このワードをよく聞く。なんとも懐かしい響きだ。
私の時代の演目は戦争モノが多かったため、だいたいクラスのほとんどの子が死ぬ役だったことを思い出す(苦笑)
いまだに忘れられないのは、小6の時に演じた
「はだしのゲン」。タイトルロールであるゲン役に選ばれたものの、主人公は坊主頭の少年。
担任の先生に
「髪を切ってこい。」と言われ、肩まであった髪を男子生徒ほどに切り落とし、真冬の2月、極寒の体育館の中、はだしで舞台上を駆け回ったのはいい思い出だ。
そのおかげで足が霜焼けになったのは言うまでもないだろう。
そんな思いをしてまで演じた「ゲン」であったが、卒業アルバムの「学芸会」のページの集合写真(劇中フィナーレのクラス合唱)に、私の姿はない。
半袖短パンの黒い学生服に、学生帽をかぶった
「はだしのアリサ」は舞台下手でピアノ伴奏に全力を注いでいたからだ。さっきまで舞台上を駆け回っていた「ゲン」が、ピアノを弾いている。
今思えば、なんともシュールな光景であっただろう。
聞くとところによると、最近の演目はとても洒落ている。
「キャッツ」「アニー」「ライオンキング」「夢から醒めた夢」「エルコスの祈り」…
劇団四季作品の多さにうらやましく思うのと同時に、ファンタジー満載の演目に時代の変化を感じた。
役名だってもちろんお洒落。「シンバ」「スキンブルシャンクス」「エンジェル」「ジョン」「ウォーバックス」。
横文字だらけなのだ。
が、ある日私は驚愕したのだった。
「先生…俺、木の役やった。」
「っぬぁ!?……木!?!?!?!?!?!?」
こんなにもお洒落な役が溢れている時代に
「木」!?!?!?!?!?
しかも台詞は
「モサッ、モサモサモサ…」だと言う。
その会話を聞いていた他の男の子が、優しくすかさずフォローを入れる。
「大丈夫!俺の台詞、「おはよう」だけだったから!」
「あっ……」
この後、教室中が苦笑いに包まれた様子はノータッチでいこうと思う。
が、彼らのことだ。どんな台詞であろうと、きっと台詞一文字一文字に魂をかけたに違いない。
なぜなら、さっきまでニコニコ笑って話していたのとは打って変わって、
「一問も落とすまい」と言うかのように、目の前にある問題に真剣に向き合う彼らの姿がそこにはあったからだ。
劇団四季の稽古場の壁には、
『一音落とす者は、去れ。』と書かれた紙が貼ってあるそうだ。
「稽古をおろそかにして、台詞や歌を誤った者は、劇団から去りなさい。」という、舞台に懸ける思いの厳しさを物語っている。
夢現塾ではさすがに『一問落とす者は、去れ。
』とまでは言わない。
しかし、そのぐらいの気持ちを常に持ち、どんな時も、何事にも挑む姿勢は大切かもしれない。
小学生はMJテスト、中学生は中間テストが終わった
。
「落とした問題」はもう二度と落としてはいけない!
まだまだテストはつづく… 次は期末テスト。
『一問落としそうな者は、(自習室に)おいで。』