以前、高橋先生からの強い勧めで、「サトラレ」という邦画を見たことがある。「踊る大捜査線」で有名な本広克行監督の隠れた名作と言われているようだ。
以下があらすじだ。
サトラレ――思ったことを口に出さなくても周囲に“悟られ”てしまう、一千万人に1人の確率で存在するという人々を称してこう呼ぶ。そして彼らは、例外なくIQ180以上の天才。だが、彼らは自分が悟られていることを知らない。それを自覚してしまえば、精神的に耐えられる者などいるはずもない。政府は、彼らの能力を社会に活かすために、彼らが自覚することのないよう徹底的に保護していた。新米外科医の里見健一も、そんなサトラレの一人だ。好きな子に対する気持ちも、思ったことは何でも周囲の人間に筒抜けになってしまう…。サトラレを巡って繰り広げられる悲喜劇映画だ。
想像以上に、自分の感情や思考すべてが周りに伝わってしまうというのは恐ろしいことだ。一見、賢そうに見える人も、上品に気取っている人も、すべてが曝け出されたら面白い気もするが、僕は当然嫌である。ただし、映画や漫画の中だけの話だと思っていたが、どうもそうではなくなりそうだ。先週のニュースをご存じだろうか。
Facebook社は、人間の脳の活動を読み取り、頭の中で考えている文章を文字として入力する技術の開発を進めていることを明らかにした。それも、通常に文字を打ち込むより5倍速く入力できるようになるとのこと。サイレントスピーチインターフェースというシステムを開発し、1秒間に100回という高速で脳をスキャンして活動を読み取り、手で書くより速いとされる毎分100語をタイピングすることを目標としているらしい。数年後の完成を目指しているようだ。
なんと!恐ろしく凄いニュースだ。
想像してもらいたい!
いつか社会に出た君らが、大嫌いな上司から仕事を頼まれる。「〇〇くん、これ大至急打ち込んでくれ!」「はい!承知いたしました!」せっかく愛想よく返事しても、画面には「てめーで打てよ。この野郎。むかつくんだよ、大嫌いなんだよ…。」の文字が自動タイプされる。「〇〇くん、ふーん、そういう気持ちなんだ…」「いえいえ、違うんですよ。あれ?おかしいな…壊れているのかな…」なんて、コントのような世界が繰り広げられていくのだろうか(笑)。
ただし、ご安心ください。さすがFacebook社。そこらのプライバシーへの配慮も検討中とか。
「これはあらゆる考えを読み取ってしまうようなテクノロジーではない。これは直接入力のためにユーザーが意識的に言語中枢に送った言葉だけを解読する。われわれのハードウェアが実用化しても、内心の自由を妨げることはない。このインターフェイスが読み取るのはユーザーが入力しようと決めた考えだけだ」とFacebook社は付け加えている。
とはいえ、間違いが起こりそうだ。想像もつかないような、恐ろしい未来がヒタヒタと足音を立てて近づいているようだ(笑)。