国単位の文化もあれば、より小さなエリア別の文化も存在する。
たとえば方言はその好例である。エリアによってイントネーションや言葉自体が異なることもあれば、英語でも「アメリカ英語」と「イギリス英語」では発音や単語、正書に違いがある。オーストラリアやニュージーランド、インド、アイルランド、シンガポールと追加すれば、その違いはより細かくなる。
興味深い現場に出くわした。場所は幸田校。小学校5年生が授業内でじゃんけんをしていた時の話だ。その日の授業では英単語を使ったゲームのために順番を決める必要があった。
「最初はグー、じゃんけんポン」 クラスに気持ちの良い声が響く。「じゃんけんポン」と他の子たちも同じように大きな声を出した。しかし、あいこで勝負は決まらない。
すると、聞き慣れない声が響き始めた。
「しょっしょっしょい」
「…しょっしょっしょい」? 最初は気のせいかと思った。だが、子どもたちの声は一般的な「あいこでしょ」ではなく、「しょっしょっしょい」だった。そのまま「しょっしょっしょい」が何回か繰り返され、終わりが来た。
不思議に思い、その場にいた中3生の男子に聞いてみた。
「この『しょっしょっしょい』って何?」
彼は少し照れたように笑いながら答えた。
「昔からこう言ってるんですよ。何でかは分からないけど、あいこが続くと自然に『しょっしょっしょい』になるんです。」
どうやら、この言葉は代々受け継がれてきたもので、子どもたちにとっては当たり前の掛け声のようだ。理由や起源は不明だが、少なくともこの地域では自然に息づいている言葉のようだ。
さらに興味が湧き、別の学校でもじゃんけんの様子を観察してみた。すると、面白いことに違う掛け声が存在していた。
ある中学校では「勝負でしょい」、 ある小学校では「あらっしょい」。
地域や学校ごとに、こうしたオリジナルな掛け声が自然に生まれているのだろう。共通だと思っていた文化にも、こうした細かな違いがあるのはとてもおもしろい。
言葉や掛け声は、その地域や集団に自然と根付く文化の一部だ。
数年後にはまた違う掛け声が生まれているかもしれない。だが、今の子どもたちにとっては「しょっしょっしょい」や「あらっしょい」が、間違いなく彼らの文化の一部となっている。
同じように、塾にもそれぞれの文化がある。授業の進め方や先生たちの教え方、雰囲気、すべてがその塾ならではの文化を形作っている。我々の塾にも、ここでしか味わえない独自の文化がある。
冬期講座が始まる。この冬、夢現塾の文化をぜひ体験してほしい。
ここでしか味わえない、特別な文化を。