10月のある日の深夜。
日付が変わる頃、僕は大阪にいた。
目的は1杯2500円の幻の創作コーヒー。
30年熟成させたコーヒーで、世界中でここでしか飲めない代物。他にも50分かけて淹れるコーヒーも有名だそうだ。海外からの訪問客も多いと耳にする。
いつの日か訪れてみたいと漠然と思っていたが、ついにその日が来た。
1年ほど前から気になっていたデニムの町、岡山の児島に行き、その帰りに大阪の1杯2500円の幻の創作コーヒーを嗜む。
こんな弾丸旅のプランを立てた。
まずは、児島で目当てのデニムを購入。その後近くの喫茶店で腹ごしらえ。時間も少し遅かったからか、お客さんは僕一人だけ。オーナーさんとデニムをテーマに盛り上がった。話し込んでから知ったが、ここのオーナーさんはデニム協会の会長で気軽に話せる人ではなかった。
その後、香川県に車を走らせ、うどんに舌鼓を打つ。時間は夕飯時。このまま四国のどこかの宿で一晩を過ごすことも考えた。しかし、居ても立っても居られずに車を大阪に走らせる。大阪に着いたときには日付が変わる直前。狭い住宅街で車を走らせ、お店に向かう。営業時間は6:00~3:30。僕がお店の扉に手をかけたのは0:30。なんとか間に合った。扉を開けると奥からオーナーが姿を現す。
1杯2500円の幻の創作コーヒーが最大の目的ということと、せっかくなら他のコーヒーも飲んでみたいことをオーナーさんに伝える。
するとコーヒー3杯と自家製ケーキを勧められた。
まず、自家製ケーキとマンデリン(このマンデリンは10日間熟成させたもの)
それと同時にモカ。これが噂の50分かけて淹れるコーヒー。お湯を入れてから30分程で最初の1滴目がカップに落ちる。この1滴を見逃さなかった自分を褒めてやりたい。(笑)
このお店に入ってからずっと未知の経験だ。
そして最後に、1杯2500円の幻の創作コーヒーだ。
机の上に置かれたのは、片手でも持てるサイズ感の樽。
そこにはH7年6月と書かれている。
その文字と樽から歴史が感じられる。
期待と予想を遥かに超える衝撃の味だった。
お店を後にしたのは3:15。
振り返れば、コーヒーやケーキだけでなくオーナーさんのバックグラウンドやら様々な話を聞かせていただいた。
ここでしか経験できない時間を過ごさせていただいた。
コーヒー好きの人であれば、一生に一度は味わってみてもいいかもしれない。
お手頃価格ではないが、一度経験してみてもらいたい。
機会があればではなく、機会を作ってでも。
それくらい価値のあるコーヒーだと思う。
ちなみに、僕がこのお店での経験にかかった金額は総額9500円だ。
賛否両論あるだろうが、個人的には1万以内で素敵で貴重な体験ができたと感じている。
金額に衝撃を受ける人も少なくないとは思うが、最後に幻の創作コーヒー1杯2500円の写真でこのブログを締めようと思う。
ずっと幻の創作コーヒー1杯2500円と記してきたこのコーヒー。
1杯は1杯でもコーヒーカップ1杯ではなく、正しくはティースプーン1杯だ。
ちなみに、この樽のコーヒーがなくなれば、もちろん二度と飲むことはできない。
気になる方は一度、ご賞味あれ。