「…コドモドラゴンがね?」
隣で妹が話している声が聞こえる。
コドモドラゴン…?
コモドドラゴンでしょ?いや、そもそもコモドオオトカゲじゃない?
「あのさ、コモドオオトカゲだよ。」
そう妹の発言に訂正をいれた翌日。
「会社の人が教えてくれたんだけど、お姉ちゃんが言ってたコモドオオトカゲはコモドドラゴンとは別の動物だってその人言ってたよ!」と。
そんなはずはない。
私はすぐにスマホで調べる。
やはり。
–コモドオオトカゲ(Varanus komodoensis)は、爬虫綱有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属に分類されるトカゲ。別名はコモドドラゴン。コモド島などインドネシア領小スンダ列島に棲息する。–
別名がコモドドラゴンなだけで、コモドドラゴンもコモドオオトカゲも同じじゃないか。
と再び妹の発言に訂正をいれたさらに翌日。
「会社が東山動物園の招待券くれた!」と妹からLINEが届いた。
コモドドラゴン、コモドオオトカゲ論争があった連日にこの展開。
我々家族は東山動物園に呼ばれていたのかもしれない。
入場ゲートをくぐり、迷わずお目当てのコモドオオトカゲの元へ向かう加納家一行。
ポスターにもある通り、日本でコモドオオトカゲに会うことができるのは現在東山動物園のみだ。
日曜ということもあり大行列。寒さに耐えながら15分ほど並ぶと、やっとこさ入り口が見えてきた。
入り口掲げられている看板。
ちゃんと「コモドオオトカゲ」その下に「コモドドラゴン」とある。
上記の名前論争のおかげで、単に名前だけでなく、関連情報で表示されていた体長、特徴や能力、生態なども気になり、ついつい見入しまった結果、下調べはバッチリの状態でここにいるというわけだ。
いざ、展示室へ。
子どもたちや大人たちの歓声が聞こえ始める。
想像以上に大きく、想像以上にドラゴン感は薄く、想像以上にムチムチし、想像以上に可愛い目をしたコモドオオトカゲがそこにいた。
ただ見る、より、事前に情報を集め、ボルテージを高めた結果なのだろうか?出会ったときの感動が増したような感覚がした。
人からの情報を鵜呑みにせず、疑問のに思ったその瞬間にすぐに調べたことで、単なる名前以上の情報を得ることができたあのときの自分に感謝だ。
スマホやパソコンひとつですぐに何でも調べられる時代。
学校で習うことや教科書に載っている内容をそのまま覚えることはもちろん大切なのだが、少しでも疑問に思ったことや興味があることは、是非自分からどんどん調べることをしてほしい。
調べるという過程で得た情報は、知識をさらに広げてくれる。そして別の好奇心もくすぐってくれるキッカケになる可能性もある。
そもそも勉強というのは、本来そういう疑問や興味から生まれる楽しい発見の連続のことを言うのだろう。
今日学校の授業や日常生活や人との会話の中で何回「なぜ?」と思っただろう?
その「なぜ」を追いかけてみてほしい。知識を増やすことで、目に見えるものの見え方や考え方はガラッと変わる。
大袈裟かもしれないが、そのちょっとした疑問の積み重ねが、世界をもっと深く、広く見せてくれるのかもしれないよ。