最近の子供たちはテレビを見るよりも何よりもYouTubeである。以前は、受験生に対して「部活ないからって、夕方テレビドラマ見るなよ。ちゃんと受験勉強しろよ。」と、よく言っていた。
受験生対象なのか、昔から夕刻にはいかにも中学生が好みそうなドラマの再放送が流れている。僕らの時代は「金八先生」だった。数年前までは「GTO」「ごくせん」「ルーキーズ」だったりと、学園ドラマを中心とした人気ドラマの再放送。ちなみに現在は、5時半から「釣りバカ日誌」が絶賛放映中である。個人的には大好きであるが、今どきの中3生はなかなか見ていない。代わりに、意識の甘~い受験生はそう、YouTubeの誘惑に負けている傾向がある。「部活ないからって、夕方YouTubeとか見るなよ。ちゃんと受験勉強しろよ。」が口癖になった。入試まで、100日を切った今、誘惑に打ち勝ってほしいものだ。
とはいえ、かく言う僕もお気に入りのYouTubeがいくつかある。生徒は知らないだろうが、一番好きなのは「クーピーチャンネル」だ。小さな軽のキャンピングカーで、いろいろなところに出かけ車中泊する。そして、その空間の中で小さなIH調理器具などを駆使しさまざまな料理を作る。コロナ禍でもちょっとした冒険気分を味わえる。1週間に一度しか更新されないことが本当に寂しいが、毎週の楽しみにしている。
また、数年前からのお気に入りチャンネルの一つに「永田 ハードオフ久留米国分店」がある。最近、お昼のテレビ番組でも紹介されたのが妙に嬉しかった。ブックオフは本中心、ハードオフは楽器やパソコンなどの買取販売の店であるが、そのハードオフの九州地区の店長さんのチャンネルだ。一部が壊れたジャンク品のギター・ベース・ドラム・キーボードなどを使い、様々な名曲を一人で演奏する。さらに驚くことには、楽器演奏のみならず歌までも本当に上手いのだ。ユーモアな面もあり、見ているだけで元気をもらえる。彼は、10代の頃にミュージシャンを目指し「東京でビッグになりたい」と、全財産2万円とギターを持って、夜行バスで上京した。住むところもなく、教会で寝泊まりさせてもらったり、警備会社に勤めたりしながら音楽活動を続けていた。しかしながら全く芽が出ず、7年後諦めて九州に戻り、「楽器に関わる仕事がしたい」とアルバイトをしたのがハードオフだったという。一部壊れたジャンク品の楽器で演奏をし、YouTubeにアップしたところ、数年で200万回再生されるようになった。今ではアルバイトから店長になったどころか、統轄店長及びハードオフ公式アンバサダーにまで出世もされている。
彼を見ていて思うことは「真剣にやってきたことが未来に繋がる」ということだ。ミュージシャンにはなれなかったが、大好きな楽器を使いYouTubeの中で「ビッグ」になることができた。彼の演奏風景を見ていると、真剣に追求してきたことがよくわかる。以前、日報に書いたこともあるスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチにもあるが、彼は大学退学後、たまたま潜り込んだカリグラフィー(西洋書道)の講義を受講しその美しさに心惹かれたことが、未来に繋がっている。この時の体験が、後に、Appleマッキントッシュという美しいタイポグラフィを持つ初めてのパソコンの誕生に生きているのだ。一見関係ないように思えることも、点と点が繋がり、一本の線になって夢は実現していく。皆もそう、今、目の前のことにしっかりと向き合っていれば、いつか必ず芽が出る時がくる。そうやって未来は、自分の手で切り開いていくのだ。頑張れ、夢現塾生たち!