地理では多くの農業用語が出てくる。学生時代、「酪農(らくのう)は楽ではない」と教わった記憶がある酪農もその1つだ。牛や羊を飼い、乳や乳製品を生産する農業である。
「十勝平野や根釧台地では酪農がさかんです。」と教科書にあるように、日本の酪農といえば北海道のイメージが強い。実際、日本で飼育されている乳用牛の半数は北海道というデータがあり(肉用牛も20%が北海道で全国1位)、「牛」の北海道を生徒たちに意識させている。
となると、日本の酪農の発祥地は北海道となりそうだが、実はそうではない。明治以降に西洋の技術が導入され、大規模な開発が行われた北海道で酪農はさかんになったのだが、それ以前から日本では酪農が行われていたのだ。そしてその発祥地が千葉県だそう。
確かに今でも千葉県は酪農や畜産がさかんな県であるが、そのきっかけを作ったのはに、歴史で出てくるあの有名な人物だ。ヒントは「旗本の三男坊」「松平健」「暴れん坊」…これだとおそらく生徒には伝わらないので、「目安箱」「公事方御定書」「上げ米の制」で分かるだろう。
そう、江戸幕府の8代将軍、徳川吉宗だ。彼はインド産の白牛3頭を仕入れ、馬産地であった千葉県の嶺岡山(みねおかやま)の牧場で飼育を始めさせた。「白牛酪」と呼ばれるバター(またはチーズ)のようなものを製造し、幕府に献上させたのである。その後牧場では牛の繁殖を重ね、市販も行うようになった「白牛酪」は栄養剤や薬のような扱いで、非常に高価なものだったそうだ。(1粒1万円!?)
ということで、酪農の発祥地は千葉であり、日本の酪農の父は徳川吉宗である。教科書では「米将軍」と習う吉宗は「牛将軍」でもあるのだ。吉宗は健康オタクだったともいわれ、今でいう腸活を実践していたのだ。平均寿命が30~40歳代といわれる江戸時代中期において、68歳まで生きた吉宗は長寿といえるだろう
体調が良くてこそ勉強に実が入るというものだ。寒暖差が大きくなり、朝晩の冷え込みが強くなってきたこの時期、なおいっそう体調管理に気を付けていこう!
p.s. このブログを作成中、「白牛酪餅」というものを発見してしまった。千葉県産牛乳を使った和菓子でおいしそうだった…。