昨今、他人にどう見られているかが気になる世の中になりつつある。私が学生だった頃よりも、美容に目覚める子供たちがはるかに多いのは間違いないだろう。
安くておしゃれな服や、安くても性能がいい化粧品が気軽に手に入り、ファッションもメイクも、ユーチューバーというとびきり可愛い先生が丁寧に友達かのように教えてくれる。
誰も教えてなんてはくれず、自分に似合うものすら分からなくなり、数えきれないほど迷走してきた私としては、現代をファッショナブルに生きる学生たちがうらやましい限りだ。
そんな私も、毎週のように薬局やドン・キホーテに足を運び、韓国コスメを買い漁り、大好きなGUとUNIQLOに用もないのに寄ってしまう。
他人の目というよりは、今日という日を過ごす自分が、いかにテンション高くいられるかが、私にとっては重要であり、その重きがファッションとメイクなのだ。
しかし、最近こんな言葉が叫ばれ始めた。
「イエベさん向けコスメ」「ブルベさんに似合う色の服」
最初はこの「イエベ」「ブルベ」という単語が何なのか分からずスルーをきめていた。が、時が経つにつれ今度は「イエベ春向けコスメ」「ブルベ冬は美人が多い」など、季節がくっついている単語へと進化してきたのだ。
皆さんは「
パーソナルカラー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
アジア人の肌は基本、大きく二つに分かれる。
「
黄色がかった肌(イエローベース)」または、「
白っぽく青みがかった肌(ブルーベース)」
そこから、さらに細かく、生まれ持った顔立ちや、輪郭、髪色、瞳の色等を考慮して、似合う色(第一印象が一番よく見える色や顔が明るく見える色、顔のパーツがはっきり見える色など)を季節で色分けするのだ。
これは女性だけでなく、男性も同じで、服の色を選ぶときや、メイクの色を考える際に、自分のパーソナルカラーを取り入れることで印象が一気に変わるため、興味がある方は一度ネット上の無料セルフパーソナル診断を行うことをお勧めしたい。
私の場合は、セルフでやってはみたものの、自己判断の信用度に欠けるのと、やはり反射的に自分の好みの色が似合っていたいという勝手な願望も入ってしまうため、客観的に自分を見てくれるプロの方にお願いすることにしたのだった。そして先日、念願のパーソナルカラー診断をしてくれる方の元を、私は胸を高鳴らせ訪ねたのだ。
まず、肌色や4シーズンの説明、そして例えばどんな有名人がどこに属すのかの説明等を受ける。ざっくり紹介するとこんな感じだ。
【
イエベ春】
本田翼さん、長澤まさみさん、坂口健太郎さん、千葉雄大さん
【
ブルベ夏】
橋本環奈さん、新垣結衣さん、福士蒼汰さん、神木隆之介さん
【
イエベ秋】
北川景子さん、今田美桜さん、松坂桃李さん、吉沢亮さん
【
ブルベ冬】
小松奈々さん、広瀬アリスさん、山崎健人さん、窪田正孝さん
なんとなく、先ほど載せた季節ごとの色が、より印象を良く見せ、より似合いそうなのがお分かりいただけるであろうか。
心の中で(
憧れの長澤まさみさんか橋本環奈ちゃんと同じ所属がいい…いやでも…大好きな松坂桃李と同じでお願いします!!!)という密かな願いを胸に、いざ診断へ。
大きなカラフルな色の布を首から下に、どんどんとかけられていく。魔法のように色が変わっていく姿をひたすら見続ける私。
不思議なことに、私の場合は淡い色の布をかけた瞬間に、顔がボケ、顔色がくすむのがド素人の目でも判断できた。また、ブルベカラーをかけると、色が馴染まず、服に着られてしまっている感満載にもなってしまったのだ。
逆に、深い色、いわゆる秋によく見かける色の布をかけた瞬間、一気に顔のパーツがはっきりし、輪郭もすっきりして見えるのだ。
「
ありささんは、イエベ秋ですね。」
そう告げられた時、王道のパキパキのピンクカラーリップがありえないほど似合わないと悟ったときのことや、シンデレラのような淡いブルーを着て写真を撮ると、顔のパーツが突然消えることへの疑問を抱いた日のことなど、様々な日々の思い出がその声と共にパッと浄化されていった。そして無事私は、願い通りの松坂桃李さんと同じイエベ秋への所属を果たしたのだった。
こういう診断の声に「いや、好きな色を着ればいいじゃないか。」という声が出ることもあるそうだ。「イエベブルベ疲れ」という言葉すらあるように、縛られすぎると自由に生きられないじゃないかと。
ただ、私は思う。自分に似合う色を知れば、それを
身に着けている自分に自信が湧き、選択に悩んだときの道しるべにだってなると。
今まさに中3生は面談真っ盛りではあるが、成績が上がる勉強法も、高校選びも、みんな同じではない。色のように、人それぞれ全く違うのだと思う。その子にあった様々な色があるように、その子にあった勉強法や、校風、やる気が入るキッカケやタイミングがあるのだ。
それを見つけることや、導くことが私たち教師の仕事なのだと、帰り際にふと考えてしまった。
私の魅力を引き出してくれる色を示してくれたプロの方のように、生徒を明るい未来へ導くプロでありたいと強く思った一日であった。