映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。
これまでにも何度か日報で取り上げてきたが、今年は特別な年だ。
1985年の公開から、40周年を迎える年なのである。
その節目に合わせて、さまざまなお店やブランドがコラボグッズを展開している。
映画タイトルのロゴが入った雑貨、マーティのスニーカーを模したルームシューズ、ホバーボードのキーホルダー…。
気づけばSNSのタイムラインはBTTFコラボ情報であふれ、車では劇団四季のBTTFの曲がエンドレスで鳴り響くという、BTTF三昧日々に、私の機嫌はすこぶる良い。
40年前の作品とは思えないほどの完成度。今見てもまったく古びない。
画質には当時ならではのレトロ感があるけれど、それがまたたまらなく愛おしい。
毎年、生徒の中にも必ず何人かのBTTFファンがいる。
40年経ってもなおファンを増やし続けているのは、この作品が“時間”という、私たちが生きるうえで避けて通れないテーマを真正面から描いているからかもしれない。
物語の主人公は高校生のマーティ。
彼と天才発明家ドクが、銀色のスポーツカー「デロリアン」をタイムマシンに改造し、過去や未来を行き来しながら、“今をどう生きるか”に気づいていく物語だ。
中でも印象的なのは、過去に行ってしまったマーティが未来から持ってきた“家族写真”のシーン。
過去の出来事を少し変えるたびに、その写真の中の家族が少しずつ薄れ、やがて消えていく。
あの“消えかける写真”は、まるで私たちの未来そのものだと思う。
「今」をおろそかにすれば、未来の自分はぼやけていく。
でも、「今」を大切にすれば、未来の自分の輪郭はくっきりと見えてくる。
未来は突然やってくるものではなく、“今”という一瞬一瞬の積み重ねの先にある。
マーティは過去を変えたのではなく、今の自分の行動を変えることで、未来を取り戻したのだ。
何度も見ても、毎回違う場面で学びがある作品である。
そう考えると、私たちの日々の努力もまったく同じだ。
目の前の一問、今日の一時間、ノートの一行。
それらは一見すると小さなことに思える。
けれど、その小さな積み重ねこそが、未来の自分を作り上げていく。
デロリアンが時空を超えるためには“1.21ジゴワット”という膨大なエネルギーが必要だった。
それがなければ、あの車はただの鉄の塊だ。
私たちにとってその“エネルギー”は、日々の行動への情熱であり、夢を信じ続ける心であり、あきらめない意志だと思う。
少しずつでも積み上げた情熱は、必ずいつか未来を動かす原動力になる。
マーティが時速88マイルで駆け抜けたように、私たちも自分のペースで未来へ走っていけばいい。
“今”という時間をどう使うかで、未来はいくらでも変えることができる。
君の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という物語は、今この瞬間から、もう始まっているんだよ。