とあるケーキ屋で7,8年前に買った期間限定発売の「〇〇栗のモンブラン」の衝撃が忘れられない。それ以来、毎年のようにこの季節になると脳がそのモンブランを欲しがるようになった。
最初に買ったときは予約なしで買えたのだが、その魅力は他のスイーツ好きたちを刺激したらしく、需要と供給のバランスが崩壊。数年前からは電話予約制となり、予約受付開始当日に約1か月分の予定販売数を即日完売、予約なしでの店頭限定販売は朝から長蛇の列というサバイバルレースになってしまった。
朝から並んでも数が少なく買えないことが多々あるらしいので、入手確実な予約購入をしたいのだが、インターネット予約ではないので、予約開始時刻から電話がけ。「回線が混みあっています」という無機質な音声が何度も流れ一向に電話がつながらない。やっとつながったと思ったら「ツー、ツー、ツー」と話し中の音。数時間後についに「人間の声」が聞けたと思ったら、「申し訳ありませんが完売しました。」と疲れた様子の声。
というのが例年のパターンではあるが、今年もいよいよこの季節がやってきた。1か月以上前から何度も店のブログを確認し、予約電話受付開始の日時をチェックしていたが、なかなか受付日が発表されない。例年は予約開始日の1週間ほど前に発表されていたので、猛暑の影響で栗の仕入れが遅れているのかなと勝手な想像をしながら、数日おきにチェックしていたのだが・・・。
「今年の予約受付は終了しました」
数日後、パソコンの画面に映し出された冷淡な文字の前で、絶望に打ちひしがれる自分がいたのであった。
とはいえ、争奪戦になればなるほど燃えてくる。前回何とか購入できたときの感動、その感動を裏切らない味の満足感、そして今年入手できなかった悔しさ。そのすべてが来年に向けてのエネルギーとなっている。絶対に負けられない戦いがそこにあるのだ。
高校受験もある意味争奪戦。決まった定員の椅子を奪い合うサバイバルレース中だ。志望校に合格できた時の気持ちは、合格した者にしか味わえない。そしてその味わいは、この受験生としての期間をどのように過ごしてきたかでも大きく変わってくるはずだ。
(当初はケーキ屋がある都市名と商品名を書いていましたが、ライバルがこれ以上増えると購入可能な確率が低くなってしまうということで、都市名を削除、商品名を伏字にするという器の小ささをいかんなく発揮しています。ご了承ください。)