この町にはルールがある。
1,空を見上げてはいけない
2,夢を信じてはいけない
3,真実を知ってはいけない
この町は煙突からはき出される煙で空はおおわれ、人々はそれが当たり前だと感じながら生活している。
そこに住んでいる人々は煙の上に美しい星空があることを知らない。
隠された真実を知ったものは、知らないところに連れていかれてしまう。
その町が全てであり、町の外や空に星が「あること」も、自分の努力で今の生活を変えることが「できること」も知らない。
そして、真実が一部の人々によって隠されていることすら知らないのだ。
ブルーノは紙芝居で空に星があること、この町の外には広い世界が広がることを人々に訴える。
その結果、町を取り締まる者たちに捕まり、知らないところに連れていかれてしまう。
主人公のルビッチはブルーノの息子。
あることがきっかけでゴミのかたまり(ゴミ人間)をプペルと名付け、煙の外の世界を見に行く。
「えんとつの町のプペル」の物語だ。
僕には「人は知らないものは見えない。」そんなことを語りかけてくる作品だった。
知ることによって人生はもっと輝くものになるんだよと。
小学校の時、スポーツ音痴の僕は、父の見ている「プロ野球中継」が全く面白くなかった。(笑)
それは僕が野球の知識が全然無かったから。
刻々と変わる状況(出塁状況や残りアウトの数)によって、ピッチャーがどこに投げるのか。
そして、相手にしているバッターはどこに投げると苦手なのか。
打たれたとしてもある方向にしか飛ばないようにバッターを追い詰めていく。
逆にバッターもコースを予測し、一流の選手は厳しい球をスタンドへ叩き込んでいく。
そんな駆け引きを知るようになって、野球の面白さを知ったのは、ずっと後のことだ。
バドミントンのシャトルが時速400kmで飛んでくること。
アメリカンフットボールでボールを持ったふりをして走っていく選手がいること。
相撲で初切(しょっきり)と呼ばれる面白おかしく反則を紹介する取り組みがあること。
興味のなかったスポーツも知ればどんどん楽しいものに変わっていく。
そう「知る」ということは「楽しい」ことにつながる。
学校でも3学期が終わり、いよいよ新学年へと進む。
卒業生は学校も変わり、新たな生活が始まる。
君たちの持っている好奇心というアンテナを大きく立てて、色々なことにチャレンジしていこう。