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ある先生のプライベートのお話 (高)

2023.12.13

※本日の日報は趣向を変え「第三者視点」で書いてみる。“ある”の部分は、皆様の想像力に任せしたい。

 

 

たまたま連休が取れたので、ある男はちょっとした一人旅に出た。

ある男とはある塾の塾長である。

 

 

かなり昔の話になるがその男は大学時代、千葉県のあるテーマパークで4年間アルバイトをしていた。

劇団にも所属していた彼、テーマパークのとあるエリアで1年目から(そこそこ?)活躍していた。

男が大学2年生の頃、学年が2つ上の男性のYさんがバイトとして入社してきた。

男にとってYさんは、バイトでは後輩であり年齢では先輩という微妙な立場であった。

しかし男はすぐにYさんと仲良くなった。いや、正確に言うと『仲良くしてもらった』であろうか。

Yさんは、人当たりの良さ・頭の回転の速さ・気遣い・明るさなど、そのテーマパークのキャストとしてふさわしいものを兼ね備えた人であった。

そのテーマパークが大好きだったYさんは。有名企業に就職が決まっても大学生活ギリギリまでキャストとして働いていた。

そんなYさんは、たくさんの人に惜しまれながらテーマパークを去っていった。

 

 

話はその2年後。

同じ場所で4年間働き続けた男。

テーマパークのそのエリアで(かなり?)活躍し、『そのエリアのアイドル』と呼ばれる(苦笑)自他ともに認める看板キャストとなった。

そんな彼のもとに久しぶりにYさんからの連絡が来た。

「久しぶり!」

内容は、ある歌手グループの解散ツアーのチケットが取れたので、一緒に行かないか?とのお誘いであった。

その歌手グループは、男もYさんも大好きなグループでよく話をしていた。そのことを覚えていてくれたのだ。

「チケットは大阪ドームなんだけど、こっちに来る時間は取れる?」

当時神戸で仕事をしていたYさんは申し訳なさそうに

「東京ドームが取れなくてごめん」

と謝ってきた。

男は残念な気持ちなど全くなく、自分のことを覚えていてくれて、自分のために動いてくれたことの喜びでいっぱいであった。

けれども男は、お金にゆとりのない大学生。話をしながらも、どうやってお金を工面するかを考えていた…。

Yさんは話を続けた。

「神戸に来るまでの新幹線代はある?来たらその分の新幹線代も出してあげるよ。お金のことは心配しないで大丈夫だよ!」

社会人2年目のYさんが、なんと『大阪ドームのコンサートのチケット』と『神戸までの新幹線代(往復)』、さらに夕食の『鉄板焼き代』などすべて出してくれたのだ。

さらには神戸の観光案内もしてくれた。アパートにも泊めてくれた。

帰りにはお洒落なワッフルの『お土産』まで持たせてくれた。

Yさんの当時の給料を想像しても、楽に払える金額ではなかったであろう。しかも1年ほど一緒にバイトしただけの仲間の為に、ここまでできる人はいるだろうか?

この出来事を思い出す度に、男は感謝と感動に包まれる…。

そして同時に、あの時の自分が『きちんと丁寧に感謝を伝えられたか?』の不安がよぎるのだ。適当な「ありがとう」の一言で済ませていなかったであろうか…。

『いつかきちんと恩返しをしよう』と思う気持ちは、帰りの新幹線の中から持ち続けていたのだが…。

 

 

しかし恩返しがしたいと思い社会人になっても、連絡することなく20年以上の月日が経ってしまった。

友達でもなければ、長年の仲間でもない。仲良くさせてもらったと言っても、ちょっとだけ一緒に働いただけの関係である。

現在働いている環境も違い、住んでいる場所も離れている。Yさんが地域で活躍されていることは、風の噂で聞いていた。

『恩返しさせてくださいと申し出るには、社会人としてもっと活躍してからだ』と思い続け、時間が過ぎていった。

そして先月。

勇気を出して、20年以上前のYさんの携帯電話の番号にメールを送った。

『番号が変わっていたら、2度と会うことはないかもしれない』

ダメもとでメールをした…。

すぐにメールが返ってきた!!

「お久しぶりです」

そして一人旅という名目のもと、男はYさんへ恩返しすべく、神戸に向かった。

 

 

“男子三日会わざれば刮目せよ”との言葉もある中で、20年以上過ぎた男子の集いである。

刮目ごときではすまされず、眼球が飛び出る程2人とも成長していた(笑)。

お互いが覚えている最後の記憶から、現在に至るまでのことや当時の思い出話など、男とYさんの会話が止まることはなかった。

ご飯屋さんの閉店後、喫茶店に移動をしても話し続けた。

「今日はあの日の恩返しをさせてください」

その言葉をやっと言えた。

Yさんがあの日渡してくれたのは、“金銭”と感動を与えるほどの“思いやりの心”であった。

彼のようなかっこいい『粋』な人になりたい。

彼がいたから、今の自分がいる。

男は現在塾教師である。

男にとっての“Yさん”が、子どもたちにとっての“ある先生”となるように、かっこつけて生きているそうだ(笑)。

 

 

余計な表現も多い日報であったが、これを読んでいるあなたは“ある男(ある先生)”が誰だかわかったであろうか?

「誰なのか?」の答え合わせは、この日報の本文で記してある。

読んでいて、気づいたであろうか?

段落の最初の文字(例:男子→だ,話→は,など)の計6文字を、縦読みでつなげてみてほしい。

どうであろうか?(笑)

これはある先生(R先生) と友人(Yさん)のお(O)話。

 

 

撮影:高橋 亮


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