先月の話になるが、ナゴヤドームに野球観戦に行った。ドラゴンズファン歴30年の僕であるが、今回の目的はドラゴンズの応援ではなく、対戦相手のあるピッチャーを見ることであった。
大谷翔平。プロ野球ファンでなくても名前を聞いた人が多いだろう。プロ野球では異例の「二刀流」(ピッチャーとバッターの両立)として、今シーズンはそのどちらでも「一流」の成績を残している。そしてピッチャーとしては間違いなく現役最高の投手であろう。
さて、見ていて面白いのが、大谷投手とその対戦相手のバッターとの真剣勝負の場面だ。特にここぞという場面で、本気度MAXで彼が投げる場面はしびれる。外野に近い座席ではあったが、遠くからでも「本気」と「手抜き(手加減)」の違いが分かる。ピンチの場面でドラゴンズを代表するバッターとの対戦では、気迫を前面に押し出した投球に変わったのだった。(結果は見逃し三振)
大谷投手と対戦するバッターを見ていると、明らかに手も足も出ず、あきらめムードがただよう選手がいる。大谷投手という大きな壁に圧倒され、対戦する前から白旗を上げている雰囲気まるだしなのである。1球、2球とあっさり追い込まれ、選手の絶望感がファンにも伝わる。一方で絶対に打ってやるぞという気合十分で、対戦を楽しんでいる選手もいる。ファンも何とかしてくれるんじゃないかという期待感が高まる。この差は大きい。
大きな壁を前にして、これを乗り越えようとするか、あきらめるかの差はどこで生まれるのか。それはその壁をしっかり見ているか否かにあると思う。あいつは俺とは初めから能力が違うんだと思っているうちは本質が見えてこない。生まれるのは嫉妬とあきらめである。あいつは確かに能力は高いが、間違いなく努力を伴ってこその結果であり、そして自分も負けないぐらい努力しているんだと思えば、その壁に挑戦する気持ちが沸き、しっかりと分析することができ、攻略の糸口が見えてくるのであろう。
人生ではさまざまな場面で壁にぶちあたることがある。夢現塾生の中でも、特に受験生である中学3年生はこの半年間で大小さまざまな壁を前にすることがあるだろう。壁を前にしたとき、決してビビらず、その壁をしっかり見据えることできれば、壁を乗り越え向こう側の世界を見るための行動ができるはずだ。壁を攻略する「楽しみ」を味わえるようになれば本物だ。