「いや〜久しぶりだね。みんな綺麗になっちゃって…」
そんなことを言いながら昔と変わらぬ満面の笑みで現れたのは
17年ぶりの再会となる小学校時代の恩師だった。
縁あって友人がその恩師と同じ職場で働いているため、再会の場を設けてもらうことができた。当時のクラスメイトと思い出話に花を咲かせ、止まらないワクワクとドキドキを必死に堪えながら、待ち合わせ場所で先生を待った。
数分後、先生が近づいてくるのが分かると、胸の高まりは最高潮になった。17年の月日を感じさせない、歩き方、仕草、笑顔、そして口を開けば当時と変わらぬ先生がそこにいた。
そこ瞬間だけは小学生時代に戻った気がした。一瞬で先生とのいろいろな思い出がこみ上げてくるのが自分で分かった。
念願が叶った瞬間だった。
1番会いたかった人。ずっと会いたいと思い続けていた人。でも会うことは叶わないと思っていた人だったから。
「もう懐かしくてさ〜。見てよこれ。」
と取り出したのは当時の卒業アルバムだった。
「これが○○(友人の名前)で、これが生彩でしょ?よく生彩のこといじってたよな(笑) 冗談が通じる子だったから本当にありがたかったよ。」
とニコニコ話す姿を見て、感無量の自分がいた。
懐かしい話に花を咲かせ、そして話は現在の話題となった。
「生彩は今何してるの?」と先生が口を開いた。
「塾で働いてます」と私が答えると、
「そうか〜先生やってるのか〜…いやー嬉しいな〜…」と満面の笑みでつぶやいた。
私が教育の道を志したきっかけは、まさしく目の前にいる先生がつくってくれた。
その先生に「今は自分が教壇に立っていること」を伝えられたうえに、喜んでもらえたのだ。自然と涙がこみ上げてきた。
そんな私の大好きな先生は、教員になる前は車のセールスマンだった。
教員を目指すために退社し、0の状態から通信で勉強を始め、教員採用試験に合格するまで8年かかったそうだ。
「結果37歳で新任だったよ…でもね?やっぱり教師になってよかったって思うよ。本当に。こうやってみんなにも会えたしね。」
そう話す先生は本当に幸せそうだった。
そして付け加えて一言。
「僕には格言があってね?……」
先生の格言とはこうだ。
【子供は宝だ でも王様ではない】
– 子供たちは私たちの未来であり希望でもあるが、かと言って子供の言いなりになってはいけない。宝だからこそ、いい部分は伸ばしてあげて、悪いところがあればちゃんと指導して、大切に磨いてあげるべきなんだ –
17年前、教壇に立つ先生に憧れていたが、やはり先生は今も変わらず憧れの存在だった。
教壇に立っている時も食事を囲んだいる時も、先生の言葉には重みがあり、愛があり、優しさに溢れていた。
縁とはどこで結ばれるのか分からない。
先生と私や友人たちがもう一度会えたように、夢現塾内でも、まだ見ぬ生徒とのたくさんの繋がりがこれから待っているのだろう。
夢現塾は今週で現学年の授業が終わり、3月から進級となる。今ある出会い、そして新たな出会いに胸を高鳴らせ、大切な「宝」を磨いていきたい。
そして、中3生は卒業までの時間があとわずか。彼らが今までで最も輝いている笑顔で卒業し、立派に高校生になってくれる最後の仕上げに尽力したい。