カリフォルニアのディズニーパークの
1つ、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーにある大人気アトラクション、
“ソアリン“。
出会いは2年前のアメリカ旅行。大体のアトラクションが待ち時間平均
30分の中、唯一
120分並んだアトラクションだ。そして、私が最も感動し、乗りながら目に涙を浮かべたアトラクション
(怖かったわけではない
)。体験後はゲストみんなが手を叩き称賛していた。その感動が忘れられず、上海ディズニーランドへわざわざ乗りに行ったほど、私はそのアトラクションに心をがっぽり奪われていた。
もしかしたら、ここまで読んでいるうちに勘付いている方はいるかもしれない…
そう、そのアトラクション、”ソアリン”が今年
7月に東京ディズニーシーにオープンしたのだ。
いつも独りでディズニーに足を運び、アトラクションは一切乗らずにひたすらショー・パレードの時間を待ち続けている私だが、ここ最近は必ずこの
“ソアリン
“だけには独りの恥などかき捨てて乗り込んでいる。
“ソアリン
“は
CMでも放映されているように、
“空を飛ぶ
“アトラクションなのは多くの方は察しているだろう。実際にアトラクションを待つ部屋には、様々なかたちで
“空への憧れ
“が表現された絵があちらこちらに描かれている。
そしてこの
“ソアリン
“体験時にゲストが乗り込む空飛ぶ乗り物、”ドリームフライヤー”の設計に携わったのが、”カメリア・ファルコ”という女性とされている。あくまでアトラクション上の設定ではあるため、実在しない人物であるが、その設定がリアルすぎるためアトラクションを乗り終えた後、私のスマホの検索履歴には「カメリア ソアリン」が大量発生していたことは言うまでもないだろう。
調べ進めるうちに、そのカメリアにはモデルにしている実在していた女性がいることが分かった。彼女の名は”アメリア・イヤハート”。名前は聞いたことある程度の知識だったが、彼女について調べるうちに、
“ソアリン
“よりも、アメリアという
1人の女性の生き様に夢中になっている自分がいた。
カンサス州に生まれ、幼いころからお転婆だったアメリアは
7歳のある日、納屋の屋根から通りにトタンを渡して自家製の「ジェットコースター」を作りすべり降りたが、乗っていた箱が地面に激突して潰れてしまい、唇を怪我したにも関わらず、爽快な顔つきで箱から飛び出し、こう叫んだという。
「まるで飛んでるみたいだったわ!」
高校卒業後は名門コロンビア大学に入学するも中退し、第一次世界大戦中はアメリカ陸軍病院で看護助手として働いたが、たまたま友人と訪れたカナダ・トロントの博覧会でアメリアは第一次世界大戦時のエースの展示飛行を見て興味津々。すっかり飛行機の魅力のとりことなった。
その後はとにかくまっしぐら。飛行学校で操縦を習い、
10分
10ドルの飛行代と彼女自身の飛行機を買うために、
カメラマン、トラック運転手、電話会社での速記などでお金を稼ぐ日々。
そして、
1928年の
4月。アメリアはヒルトン・R・ライリー大尉と名乗る人物から「大西洋を飛んでみないか?」という電話をもらい、快諾。
この出来事により、アメリアは「初めて大西洋を横断した女性」の称号を得ることになったのだ。
が、実際にはこのときアメリアは実は「男性パイロットの隣に座っているだけ」という役だった。それでも当時の女性にとっては、快挙だったのだ。それでも、彼女はこのことについてこう語った。
”シュトルツ(正操縦士)がすべて操縦したの…しないといけなかったから。私はただの荷物で、ジャガイモの袋みたいなものよ“
彼女は「女としての特別扱い」に甘えるどころか、むしろそれに反発し、この発言のあと、彼女はこう告げたという。
“いつかわたしは自分一人で挑戦するわ“
この言葉通り、アメリアは
5年後、女性による初めての大西洋単独横断飛行を成功させたのだった。
その後も、数々の快挙を成し遂げた彼女だが、赤道上世界一周飛行に飛び立った彼女が戻ってくることはなかった。
現在も謎に包まれるアメリアの最期ではあるが、彼女の母国アメリカでは、今もなおその名を知らないものはいないほどの英雄として称えられており、かっこいい女性の鏡の様な存在として知られている。
「女性はこうであるべき」という人々の固定概念を打ち破り、やりたいことを貫き通した彼女。そして「女にしてはすごい」ではなく、一緒に飛んだプロの男性パイロットを唸らせるほどの腕前を持つ真の飛行家であったのだ。
あるインタビューに対しての彼女はこう答えている。
インタビュアー:「あなたはどうして冒険をするのですか?いつか失敗したらという不安はないのですか?」
アメリア:
「私は“やりたいから”やるのです。女性も機会があれば何事にもチャレンジすべきです。人間的にも経済的にも自立し、さらにそれによって他の女性を励ますことが出来るのです。失敗?そんなものはありません。」
この言葉は私の心を突き刺した。アメリア…本当にかっこよすぎる…
ただの好奇心をチャンスに変えてしまったアメリア。そのチャンスを躊躇せず受け入れ、チャンスは夢となり、そして夢は現実となった。
“ソアリン”に乗り込む人たちの何人が彼女のことを知っているのだろうか…
「夢がかなう場所」を訪れた際は、または空を見上げた際は思い出してほしい。まだ女性が生き辛かった時代に、「夢をかなえた女性」がいたことを。彼女の思いを。
アメリアのように勇気を持って、自由に大きく夢を羽ばたかせられる人でありたいものだ。
夢を持って、大空へ飛び立とう!