「ブ――――ン」「バシッ。」
この時期は、なりふり構わず小さな殺生を繰り返している。
江戸時代ならば、危うく伊東淡路守基祐のように流罪になっていたところだ。
幼いころから虫が嫌いで、教科書に載っているモンシロチョウの幼虫の写真でさえ触れなかった私は、今や自習室に迷い込んだ全長5㎝ほどの蛾をアースジェット片手に倒せるほどたくましく成長した。
緑丘校あるあるだと思うが、外階段に無限に現れる蛾や蜘蛛に触れないよう、刺激して飛びつかれないよう、神経をすり減らす日々だ。
「理科の先生なのに虫が嫌いなの?」と緑丘校某T君につっこまれ、仕方ない、虫にもいいところがあるかもしれないとネットサーフィンをしてみたが…
出てくるのは何とも気持ちが悪い色をした蛾の画像ばかり。
犬や猫のように「かわいい!!」と思える種類や、ほうほう、蛾も世の中の役に立っているのだなあと納得できるような長所に出会うことはできなかった。
とはいえ、気持ち悪いという感情の中にも面白い写真を見つけたので紹介したい。
これだ。ワン、ツー、スリー。(『ザ・ベストハウス123』風)
なんと、蛾が眠っている鳥のまぶたをこじ開けて、涙を飲んでいる様子が撮影されたというのだ。
調べてみると、蛾が主に食べている植物の蜜には必須栄養素である「塩分」が含まれていないため、それを補給しているのだと述べられていた。
「塩分」はそこらで見つけることが難しいため、進化して身についた蛾なりの生きる知恵なのだろう。
しかし考えてみてほしい。おそろしいのはこのような蛾の生態ではない。
涙を吸い取られていることに気がつかない鳥の方である。
とてもとても細い管で飲んでいるにしても、鳥はなぜ気がつかないのだろう。少しくらい嫌がろうよ~と思う。
だが、言われてみれば私も、夜中に気付かずに蚊に食われていることが多々ある。多々どころではない、起きていても気づかずに刺されている。
人のことは言えないな、と思った・・・
さて、来週からは夏期講座が始まる。
受験生にとっては勝負の夏。1学期成績がうまく取り切れなかった君にとってはリベンジの夏。
絶好調だった君にとっては自分の甘えに負けない夏だ。
校舎を彩る蛾のように「涙を呑む」結果とならないためにも、充実した夏休みを過ごそう。
やる気と元気にあふれ、宿題を早々に終わらせた余裕綽々な君と
夏期講座で会えることを楽しみにしている。
※画像は日経電子版ニュース2018/10/15の記事より。