パソコンの画面を見て、僕の口から言葉が漏れた…。
「これはキツイなぁ~。」
目の前には焼肉屋の“閉店のおしらせ”の画像…。
あろうことか夢現塾の祝勝会で毎回利用している焼肉屋が、突然閉店したのだ。
しかも2018年12月12日の日報『最後の祝勝会』を載せた後、一ヶ月も立たずに閉店をしていた。
閉店のおしらせなどは店内のどこにも書いていなかった(…と思う)。
焼肉屋のポイントカードの貯まったポイントはどうすればいいんだぁーーーっ!!
しかし怒りや感傷に浸っている時間はない。
焼肉を待っている子たちがいる…。
ご存知の方もいらっしゃるかと思うが、再度お伝えしておこう。
夢現塾には定期テスト後に『祝勝会』という“ご褒美”が存在する。
その基準は、
A:学年順位ベスト5のうち4名以上が夢現塾生であること。
B:学年順位ベスト10のうち7名以上が夢現塾生であること。
※いずれの場合も、学年1位がいることが条件(つまり、2位~10位まで9名いても達成とはならない)。
幸田中2年生の2学期期末テスト。
1位・2位・3位・4位と、学年順位ベスト5のうち4名が夢現塾生であった。
この学年にとって、初めての『祝勝会』。
馴染みの焼肉屋の閉店というアクシデントに見舞われたが、それを理由に中途半端なお店ではかわいそうである。
僕はある焼肉店に目星をつけた。
そして下調べとして、事前に食事に行った。
メニューを端から少量ずつ順番に頼み、肉の味・柔らかさ・食べやすさなどを評価していく。
それらを携帯電話のメモに残していった…。
そして迎えた幸田中2年生の『祝勝会』当日。
食べ放題の開始時には
「どれにする~?」
「え~、私なんでもいいよ~。」
などと、控えめな4人。
しかし僕が注文した肉達を食べると、
「これならいくらでも食べられる~。」
「このサイドメニュー、めっちゃうまい!」
「ちょっと私の分が少ないんだけど、食べるの早い!」
などと、いつもの4人に早変わり。
そして注文の制限時間90分のうち、残り30分を過ぎたところで、僕はある事実を伝えた。
「俺、肉ばっか焼いてて、まだ2枚しか食べてないぞ…。」
すると子供たちは
「先生は肉を焼くのが好きなんですよね?」
「まだ焼いてない肉がこっちにもありますよ。お願いします。」
「先生がずっと焼いてばっかりで食べないから、私かわいそうだと思って…。でも先生が焼いてください。」
こらこら…(苦笑)。
店の外に出ると、寒風が楽しい会の終わりを告げた…。
「また来たいね。」
「今度は○○も一緒に来たいな~。」
焼肉屋の駐車場で言う、僕の
「さようなら。」
の声が、冬の星座に吸い込まれていった…。