ついに来てしまった、この日が…
まったく待ちに待っていない
健康診断。
ある意味ドキドキが止まらない
健康診断。
病院へ向かう車の中で、某アイドルグループの曲を聴きながら、センターの女の子と共に同じタイミングで心の中で叫んだ。
「僕は嫌だ!(健康診断が)」と。
頭の中には、1年前のこの日の出来事がぐるぐると駆け巡っていた。
「2年前から体重が10キロ増えてるよ。どうしたの?何したの?」
昨年の健康診断で、問診の先生から言われたこの言葉がこの1年間私を苦しめた。
記憶の中の私は、先生と向かい合い、ただただ苦笑いで、その問いにこう答えるしかなかった。
「たくさん… 食べちゃいました。」
そして1年後の今日、私はまた1年前と同じ病院へと向かっていた。自分自身に向き合うために。
体温36.8度
身長151cm
血圧正常
視力両目共1.5
聴力問題無し
美しい心電図
全て順調。完璧。安堵しかなかった。
そう……
体重以外は。
例年とは違い、今回は身体測定に使う測定器が新しくなっており、仕組みはわからないのだが、ただ立っているだけで、身長と体重が測れるという優れものに進化していた。
「どうなっているんだ…!?」と、新器材に感動している私が、ふと右に視線を向けた時だった。
そこに映し出されていたのは、まるで測定器のように「進化した」紛れもない私の体重であった。
心の中で思わず、
「Oh…」と声を漏らした。
強い衝撃を受ける時、自分のリアクションは外国人化するのだということを、私はその時初めて知った。
自業自得のくせに、落ち込む私に問診の先生は、
「落とそっか。体重。ね。」と優しい声で私を諭した。
健康診断が終わったその夜。
落ち込んでいた私が出会ったのは、進化途中のたくさんの塾生たちだった。
終わったばかりのMJテストよりも、次のMJテストを心待ちに、進化していくと意気込む5年生。
苦手教科をこの冬どうにかしたいと前向きに気持ちを進化させる2年生。
そして入試という未来に向けて、休みなく進化しようともがく3年生。
そんな彼らに、身体が順調に横方向へ進化していっている私は口を開き、こう諭すのだった。
「一緒にがんばろっか。勉強。ね。」