校舎を出ると、暗闇の中に浮かび上がる白い息。
熱で張りつめた僕の頬から、ゆっくりと熱を奪っていく尖った空気。
遠くで聞こえる電車の音が、夜の静寂を際立てる。
冬の景色の輪郭を縁取る、夜空のオリオン座。
オリオン座。
日本では“鼓星(つづみぼし)”と呼ばれている。
中央の三つ星は、毛利元就でも有名な“毛利氏の家紋”にもなっている。※毛利元就は山陽道・山陰道・九州北部などを領国とした戦国大名。
異国ではこれらの周辺の星を集め、神話を創った。それは『オリオン』という名の狩人の物語。
オリオン座は天の赤道を挟んでいる為、地球上のほぼ全域から全貌を観測することができる。全貌を観測できない場所は緯度が80度以上の地域。オリオン座の一部分なら、全世界で観測することができる。
時をも国境をも越えて、人々の心を惹きつけるオリオン座。
オリオン座は、1つ1つが輝く星の集合体。
明るさも違う、1つ1つの星。
地球からの距離も違う、1つ1つの星。
たまたま近くに見える星々を集め、オリオン座が生まれた。
たまたま集まった星々が、奇跡の物語を紡いでいく…。
それを人に例えるならば、その星々が夢現塾生。星座が夢現塾である。
輝く星々の集合体『夢現塾』。
そう、僕の目の前では地上の星たちが輝いている。