11日の火曜日。
一週間休みの渡辺先生に代わり、緑丘校の授業に入った。
去年も同じ時期に代わりとして行ったので、その時から夢現塾に通っている子とは1年ぶりの再会だった。
とはいえ、1年前に1回会っただけなので、さすがに私のことは覚えていないかなと思った。
しかし、小学生の送迎に出ているときにそんなモヤモヤは一気にかき消された。
「あ!さとふる!」
車から降り、私の顔を見るとすぐに名前が出てきた。
去年「呼ぶときは“さとふる”でもいいよ」と何気なく自己紹介したのを覚えていたのだ。
すかさず「覚えてる!さすが!」と言うと、うっすらドヤ顔を浮かべながら階段をのぼっていった。
また教室に入り、授業の最初に改めて自己紹介をすると、「ああ!さとふる先生ね!」「去年七夕の話してた!」という声。去年会った子たちは、私のことを思い出してくれた様子。
その日はじめましてだった子たちも、「さとふる!」「みく先生!」「さとぴー!」「納税先生!」など、様々な名前で呼んでくれた。ちなみに「納税先生」は、私の名字“古里”から“ふるさと納税”を連想してのことだろうが、さすがに原型がないのでお断りさせていただいた(笑)
授業後も、授業でした雑談の内容について話しかけてくれたり、「また1年後!」と言って帰っていったりする小学生を見て、その健気さに心が洗われた。
そして、中3生も同様に、私のことを覚えてくれている子が意外といた。
「去年は一次関数の利用のところやったけど覚えてる?」と言うと頷いてくれる子がいたり、なんなら自ら「あのグラフのやつやりましたよね!」「織姫と彦星の話してましたよね?!」と言ってくれる子もいたりと、思った以上に1回きりの授業を覚えているものだなあと感心した。
加えて、問題を解き進めるときは静かに集中し、盛り上がるところは盛り上がることのできる空気のなかで授業を進めながら、「このメリハリ、さすが3年生だな」とも思った。
ここ数日で、この11日の緑丘校の他にも、数回お休みの先生の代わりとして授業に入ったが、久しぶりに会っても前回の内容を覚えてくれている子がいたり、普段とは違う先生の授業で緊張しつつも私の話に笑ってくれたりと、とても嬉しかった。
代わりとして入るのは年に何十回もある授業のうちのほんの1,2回だが、その限られた時間の中で、私の授業を“わかりやすい”“面白い”“楽しい”と思ってくれる塾生がたくさんいたら、教師として喜ばしいこと。
たかが代わり、されど代わり。
私だからこそできること、伝えられることを授業でもれなく出し切れるよう、もっともっと自分の技術も精神力も鍛えていきたいなと思う出来事であった。