場所は六名校の事務室。
異変を感じたのは数日前のことであった。
充電中の携帯電話が“ブーン”と震えた。
同時に夢現塾の電話機(子機)の電源が入り「ツーーー」と音が聞こえる。
何だ??
子機を持ち上げて、電源を切り、充電器に再度置く。
しばらくするとまた突然携帯電話が“ブーン”と震えた。
そして子機の電源が入り「ツーーー」と音が聞こえる。
隣に座っている渡辺先生も、何度も子機を持ち上げ充電器に置いていた。
表情には出さないものの、繰り返し起きるこの怪奇現象に悩まされているようであった…。
延長コードにささっている子機のコンセントの位置が日々変わっている形跡から、(普段一緒には校舎にいない)宮下先生も悩まれていることが想像できた…。
そして僕は、この怪奇現象の原因が『延長コード』であることを突き止めた。
延長コードを踏むたびに、電源が切れたり入ったりすることを発見したのだ。
事務室を横断するこの延長コード…。
いつ購入したのか覚えていないほど、昔に購入したものである。
長い間
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
の如く、
足ニモマケズ
荷重ニモマケズ
(結局は負けてしまったが…)
耐えてきた延長コード。
夢現塾への貢献度は計り知れない。
新しい延長コードに代わるその日まで、あと数日はこの『延長コード』の怪奇現象を楽しむとしよう。