中学生最後の大会が始まる前日のことだ。
部員全員が集められ、監督からこう言われた。
「ついに、明日だな。どんな気分だ。ワクワクか。それとも緊張で吐きそうか(笑)」
僕はこの時、ワクワクでも緊張でもない、なんとも形容し難い感情だった。いろいろな感情が混ざっていた。
「いいか。俺たちは、強いんだ。」
なんでそんなに言い切れるのか、疑問だった。
「どこのだれよりもたくさん練習をしてきた。練習量も練習のクオリティもどこにも負けない。これでもかって毎日やってきたんだ。明日からの大会のためにやってきた。貪欲に、がむしゃらに、必死になってやってきた。そんな俺たちが負けるわけがない。だってあんなにやってきたんだから。」
この言葉に、ものすごく納得したことを覚えている。そして、3年間のやってきたことが走馬灯のように頭を駆け巡った。
「“人事を尽くして天命を待つ”って言葉がある。これは、人としてできる限りのことをやって、結果は神様に任せるって意味だ。俺たちは、もうやれることはやった。やり残したことは何もない。あとは神様に任せるだけだ。」
この時点で頭の中には、もう“勝つ”ことしかなかった。
「よし、最後に円陣組もうか。」
このあとキャプテンの掛け声でいつもの円陣が始まった。
「オ~~~~…ゼッ!オッ!ゼッ!オッ!ゼッ!オッ!ゼッ!オッ!ゼッ!オッ!行くぞ~!オ~!」
いわゆる武者震いってものを初めて感じた。一気にテンションが高まった。今、思い出してもちょっと高揚感を感じる。(笑)
「あ!さっきもうやることはないって言ったけど。あった。しっかり晩ご飯たべて、ゆっくり寝ろよ。そして、明日遅刻すんなよ!」
何を食べたかは覚えていないが、はっきり覚えているのは晩ご飯がおいしかったことと、興奮でゆっくりは眠れなかったこと。(笑)
特に目標とするものがなく、なんとなくで練習をしていた中1。
世代交代で中心の学年になるも、まだ具体的な目標がなく、とりあえず今を充実するためにトレーニングした中2。
最後の大会という目標がはっきりと視野に入り、練習への熱量が増えると同時に過去の二年間を猛省する中3。
そんな僕は、大会前日の監督の言葉で、どれだけ奮い立たされたか、計り知れない。
入試直前、僕は受験生にこう言ってやりたい。
「お前たちは、大丈夫だ。だって、めちゃくちゃ勉強したんだから。すっごい勉強したんだから。もう勉強しかしてないんだから。」
自分の行動に誇りを持てるように、今日も明日も、地に足をつけて過ごしてもらいたい。
中1・2年生のみんなは明日からテスト対策授業になる。必死に勉強する先輩の背中を見て、テスト勉強に精を出してもらいたい。
小5・6年生のみんなは来るMJテストに向けて頑張って、有終の美を飾ってもらいたい。