追いつけると思ったら、逆に離されるという屈辱。
高校3年生の体育大会。選抜者によるクラス対抗リレー。バトンを受け取り2メートル先をいく走者をロックオン。トラック1周なので、前半は抑え気味で様子を見ながら後半で追い抜くという青写真。1年前はこの作戦で2人を抜き去った。今年もこれだ。さあいよいよ後半のスパートだ。
…。あれ、体が動かない。頭に描いた理想像と現実の大きな隔たり。そうか、そうだった。部活を引退してから運動量が激減した結果だ。想像以上に走力はガタ落ちだった。体が動かない。ああ、今でも思い出すことができる。追いつけると思ったら、逆に離されるという屈辱を。
受験生の諸君。特に部活が運動部だった生徒たち。「勉強のやりすぎ」で運動不足になっていないかい?
運動と勉強には密接な関係があることが分かっている。暗記ものは運動しながらの勉強がおすすめだといわれている。身体を動かすことで脳に酸素が多く供給され、脳が活性化した結果、記憶力がアップするというメカニズムだ。ウォーキングやスクワットなど軽い運動をしながらでOKで、立ったままの勉強でも充分に効果があるそうだ。
とはいうものの、体を動かしながらの暗記勉強は逆にやりづらいという生徒もいるだろう。そこで、もう1つのおすすめ方法は、適度な運動を「勉強前」にやることだ。ジョージア工科大学や筑波大学での研究で、勉強前の運動による記憶力の向上はすでに実証済みであったが、昨年の北海道教育大学などの研究発表では、記憶力の向上に加え、6~8週間までの長期記憶が強化されることが分かったということだ。
ということは、暗記勉強を継続的に繰り返すのに加え、勉強前の運動を行えば、さらに長期的な記憶の定着が狙えるということ。机に向かう前に20分ほどの適度な運動を継続してみるのはどうだろうか。その効果が出るのは先かもしれないが、継続は力なりだ。ついでに運動不足の解消にもなるしね。