冬期講座の授業準備のため、テキストやパソコンとにらめっこする日々が続いている。
ただ、手がカサカサでテキストのページがめくれないとか、寒くて筆圧が薄くなるとか、手が震えて字が汚くなるとか、そういうことに出くわすたびに、ひたすら勉強ばかりしていた受験生時代のことを思い出す。
受験の思い出はいろいろあるが、今日は2つお話ししたい。
この冬に受験がある人はもちろん、そうでない人も「そんなこともあるんだな~」と知っておいてくれたらいいなと思う。
1つ目は、私立高校一般入試でのこと。
私が受験した私立高校は受験者数がとても多かったようで、試験会場が「体育館」だった。
冷え切った体育館の四隅に業務用のヒーターが置いてあったが、寒さが苦手な私にとっては過酷な環境だった。
カイロを制服のスカートのポケットに潜ませ時折手を温めてみたり、軽くグーに握ったところに息を吹きかけたり、とにかく手が冷え切らないようにしながら試験を解いていた。
また、冬場の体育館といったら、足元が冷えて冷えて仕方がない。
靴下2枚を重ねて履いていたが、試験が終わる頃にはもう指先は冷え切って、試験が簡単だったとか難しかったとか考える余裕もなく、「手が痛い~~足も痛い~~~」と言いながら帰った記憶がある。
2つ目は、大学受験のセンター試験(今は名前や内容が変わって「共通テスト」になっている)のときのこと。
今度は温かい教室で受けられたので試験中は特に問題なかった。
が、しかし。試験会場になっている大学がとにかく遠かった。
午前9時半頃から始まる試験のために、朝5時には起きて、始発の電車に乗り、バスに乗り継いで行った。緊張で眠気はほとんどなく、ただただその道中が寒くてたまらなかったことはよく覚えている。
センター試験は2日間あったのだが、1日目が終わって一息つく間もなく、かじかんだ手で参考書をめくりながら2日目の勉強をしたのが懐かしい…。私も、一緒に会場まで行っていた同級生も、手が紫色になっていて「もう手の感覚ないよね」とカイロで手を温めながら、帰宅ラッシュに重なった電車で、その紫色の手で色あせた参考書を見つめていた。
緊張で覚えていないことも多いが、高校受験も大学受験も、とにかく寒かったことだけは確かだ。
だが、「さすがに寒いからあと2か月待って」なんて言っても、誰も何も、待ってくれない。
与えられた環境で、自分のもっている力を出し切らないといけない。そうなると、寒さというのも受験にとっては大きな敵になるだろう。
明日から、いよいよ冬期講座が始まる。
寒くて手はかじかむし、集中力だって切れやすいかもしれない。
それでも、ここでやったことが必ずみんなの力になる。
受験はこれからも毎年、この寒い季節にやってくる。
みんながその試練を乗り越えるのに必要な自信の1ピースに、この冬期講座がなりますように!