「また」新年度が始まった。
私たちにとっては「また」の新年度も、夢現塾で迎える「初めて」の新年度という子たちもいる。
桜の花を見ると、暖かい日差しを感じると、といういよりは、真新しいテキストのインクの匂いが教室中に漂っているときこそ、新年度の幕開けを感じられるのは職業柄なのだろうか(笑)
この匂いがする時期ということは、現中3を見送る時期でもあるということ。私にとっては嬉しくも悲しくある匂いなのだ。
今年度の卒業生は、5年生から中学3年までという、教えてきた子たちの中で初めて一番長く受け持った子たちでもある。
きらきらと純粋な眼差しで、「先生、ぼく腕にタトゥーをいれたんです!」と指差すその先には、名前ペンで書かれた「たとぅー」の文字。
そんな屈託のない笑顔に向かって、「いいか?タトゥーってのは、自分の考えや思いを体に残すもので、”タトゥー”という言葉を刻むものじゃないぞ。」と、10歳相手に諭したのがつい昨日のことのようだ。
「あれ?先生、今日はパスタじゃないの!?」と、お昼ご飯の調査に必ずやって来る、ご飯警察。
髪をばっさりショートにした私を「広瀬すず」ではなく、「先生はそのCM(風邪薬)の隣に映ってる頭が粒々のカプセルの方だよ」と、人間として認めてくれないときもあった。
あの頃がとてつもなく懐かしい。何度お腹の底から一緒に笑っただろうか。
そんな無邪気だった子どもたちは、今や自分の進路を自分で決め、自分の足で進もうとする、立派な15歳へと成長した。
たった5年。されど5年。
5年あれば人はこんなに成長できるんぞと、大人たちを鼓舞するかのごとく、日々輝きを増していった君たち。
楽しいことばかりじゃなかっただろう。でも辛いことばかりでもなかっただろう。
そんな全ての経験が君たちの「今」。そして、「未来」を創っていく。
冬が終わり、春がやってきた。
希望に満ち満ちた季節だ。
どうか君たちの選んだ道を、進んだ道を希望という光が照らしてくれていますように。