「アンのような子になりたい。」
これは私が小5のときに書き上げた読書感想文の出だし。
私はこの夏、アンという名の想像力溢れる少女とその友人ダイアナ、思いやりに溢れるギルバートブライスなど、プリンスエドワード島の住人たちと出会った。
「赤毛のアン」L.M.モンゴメリ著
不器量で癇癪持ちでお喋りの孤児、アン・シャーリーが手違いによって、子育て経験もない兄妹、マリラとマシューの元にやってくる。美しいカナダのプリンスエドワード島を舞台に、たくましく、明るく元気に成長していくアンの姿と、アンの周りを固める個性豊かな友人や隣人が話に花を添えていく、今も私が愛して止まない作品だ。
落ち込んだとき、何度アンに救ってもらったことだろうか。
-こんなに面白い世の中に生きているのにいつまでも悲しんでなんかいられないわ。-
-明日がまだ何ひとつ失敗をしない新しい日だと思うとうれしくない?-
心の中のアンはいつも屈託のない笑顔で私にそんな言葉をかけてくれる。
両親を亡くし、孤児院でのいじめに耐え、里親を転々とするような人生の苦しみを経験してきたアン。そんな彼女だからこそ、生きるということの楽しさ、小さな幸せを感じること、当たり前は当たり前じゃないと気づくこと、の大切さを知っているのだろう。
「今、目の前にある幸せ」を「幸せ」だと素直に気付き、素直にそう言えるアンに、私は10歳の少女ながら憧れたを抱いていたのかもしれない。
朝起きて、美味しい朝ごはんを食べられる健康的な身体があること。「おかえり」と言ってくれる温かい家庭があること。ときには目の前に突然現れる辛い壁が現れたりもする。そんな壁を乗り越えるのを手助けしてくれる周りの仲間や大人たちの存在。
「幸せ」は常に私たちの周りにあるのよ、ということをアンはいつも気づかせてくれた。
2021年も沢山の出会いがあり、その分沢山の笑顔も沢山の不安な顔も、そして沢山の真剣な顔を見てきた。
そしてそんな2021年のラストにも、冬期講座での新たな出会いがまだまだ待っているかと思うと、嬉しさはもちろん、有り難さを噛み締めているところだ。
-なにかを待つって、その楽しさの半分にあたるわ。-
私の中のアンはまたそんなことを囁いてくる。
待つ楽しさはそろそろ終わり。
これからは、夢現塾で過ごす冬休みを一緒に楽しもうね。