毎年定期的に訪れる「痩せたい時期」。
あらゆるきっかけが私に「痩せろ」と語りかける。が、それが深く突き刺さる時もあれば、浅く触れるだけの時もある。
深く刺されば半年は続き、浅く触れれば3日坊主。
去年の7月から実践し始めた減量は、-5kgを最後に自然消滅し、新年を迎える頃には+5kgとプラマイゼロ。数ヶ月の努力はもろくも一瞬で消え去った…
・めんどくさい。
・まあ、いいや。
・私が太っていようと誰にも迷惑をかけない
この太っちょまっしぐらの思考は、私をとことん太らせた。痩せるきっかけもない。食べたい物を食べて何が悪い。
この自分に甘々な考えは3週間前、突如ぶった斬られることになった。
レンタルビデオ屋で、なんとなく手に取った映画『キングダム』。そういえば話題になっていたな、とミーハー気分で手に取ったあの日から、すでに私の減量生活は始まっていたのかもしれない。
その映画に登場したのは、女優 長澤まさみ。
人々を魅了する彼女の表情、役柄、殺陣、全てが美しく、かっこよくもあり、私は画面上の彼女に釘付けになった。
しかし、私の心に何よりも深く突き刺さったのは、努力の賜物である彼女の美しい体型だった。
どれだけの努力をしたのだろうか…
どれだけ身体を絞ったのだろうか…
キープするのはどれだけ大変だっただろうか…
そんなことを考えながら映画そっちのけでずっと彼女を目で追っていた。
そして映画が終わるころには、私の決意は固まってしまった。
今年になって初めての「減量」をすることを。
この減量を人生最後にしたい。人生最後に長澤まさみになるんだと。
しかし、減量を始めて2週間経過した頃。気づいてしまったのだ。そう簡単にまさみになれるはずがないと(気づくのが遅いというツッコミは控えていただきたい)。全てセルフで減量やボディライン形成をするにも限界があるのだと。そこで、思い立ったが吉日、プロの力を借りようと、私は痩身エステ専門店の門を叩いたのだった。
人生初めてのエステ、リンパマッサージ。小さい頃は、芸能人が行くような場所なんだと思っていた場所に自分は来ていた。希望に胸を躍らせていたのも束の間。
突然の体調不良が私を襲った。それは人生初の「好転反応」というものだった。
「好転反応」とは、蓄積していた疲労物質や老廃物などの毒素が血液に流れ、外に出ようとするために引き起こされる一時的な体調不良のこと。
詰まりに詰まったリンパの流れが急になだらかになったため、私の身体が驚いてしまったのか、「慣れないことをしたから…」と一瞬後悔した自分もいたが、毒素が溜まった状態にすっかり慣れてしまっていたからこそ感じられた反応。
「好転反応」とは、改善に向かうための辛い試練なのだ。
現在は「好転反応」であった腹痛やめまいもなく、むしろ以前よりも身体が軽くなり、まさに好転した。が、マッサージによるすさまじい程広範囲に広がる内出血は消えずに残っている。
好転反応真っ最中、天井を眺めながらふと思った。初対面の担当の方から出た話題はやはり「コロナ」だった。テレビでも、ネットでも、ここ数か月、「コロナ」という言葉を聞かずに過ごせる日はない。娯楽が奪われ、学校にも行けず、世界中が混乱し、疲弊している。当たり前の日常が失われつつある。
この重く辛い状況下、日本中の、そして世界中の人々が「コロナ」という毒素を追い出し、「好転」させるために懸命に日々闘っている。またいつもの日常が戻ってきてほしい。「コロナ」という存在が薄くなり、世の中の動きが好転してきたころには、私の身体も長澤まさみスタイルに好転しているのといいなと…。
夜はいつか終わる。日はまた輝く。
みんなで乗り越えよう。前向きにね。