「うおっ!」
いつもの見慣れた幸田校が、白い布で覆われていた。
夢現塾初となる校舎全体のリフォーム工事が始まった。
リフォームの概要や日程を聞いて、頭では理解し、その姿をイメージしていた。
しかし実物を見ると、やはり迫力がある。
玄関のカギを開けると、薄暗い室内。
そして窓から見える銀色の骨組みと足場。
塾生達はこの状態を見て、何を思うのだろうか?
僕は子ども達がやってくるのを、首を長くして待っていた。
そして待ちに待った夜がやってきた。
送迎の車から降りてきた子ども達は、
「おぉ~!」
「どうしたんですか?」
「塾の壁の色が変わるんですか?」
「なんかスゲー!」
「建物を改造するんですか?」
思ったことを次から次へと、聞いてくる。
幸田校を覆った白い布は、子供たちにとっては謎のベール。
そんな夢見る少年少女たちに、
「ディズニーシーのアトラクション『トイストーリーマニア』みたいに、目黒先生の顔を玄関につけて開いた口から中に入るようになるんだぞ。」
と、夢を壊さないようないい加減なことを言っておいた(苦笑)。
幸田校が建つ前、ここは何もない土地であった。
幸田校が建ち、周りに次々と家が建ち始めた。
そして建物に年季が入り始めた現在。幸田校は新興住宅街の一部となり、通学路の一部となった。
建物の老朽化は夢現塾の歴史であり、校舎の汚れは夢現塾の勲章でもある。
しかし夢現塾はまだ思い出の地ではなく、未来輝く夢現塾生達が今現在も通っている。
そしてまだ見ぬ未来の夢現塾生達も、これからやってくる。
きれいになったこの場所で、新たな歴史が始まっていく。
校舎の外壁の汚れが消えても、夢現塾生達の『夢の足跡』はずっと消えることはない。
追伸:幸田校の大家さん、いつもいろいろと気にかけていただきありがとうございます!!