塾の教師になりたての頃、先輩教師に教わったことがある。
「教師は五者たれ」ということだ。
教師には学者、役者、易者、芸者、医者の精神が必要であり、その力をつけなさいということだった。
簡単に言うと、以下のような力だ。
学者…膨大な知識を身に付けようとする力
役者…相手を引きつけ、魅了する力
易者…相手の不安を取り除く力
芸者…学びの場を楽しみの場に変える力
医者…相手の性格やタイプを見抜いて治す力
先週の木曜日のことだ。
自習室は、テスト勉強のために集まった生徒で溢れている。
僕は、自習室監督をしながら、翌日の「中3高校入試合格セミナー」のパワーポイントを作成していた。
その席で発表する「卒業パーティー会場」の画像を作成中、どうしたら盛り上がるのか…と考えていた。
これから、いくつもの試練を乗り越えていかねばならない受験生の発奮材料の一つにでもなってくれたら、これほど嬉しいことはない。
頭を占領していたのは「半端ないって」。
早くも今年の流行語大賞候補にも挙がっているこの言葉!
ご存知の通り、ここ数日、関連映像が流れっぱなしだった。敵キャプテンのロッカールームでの発言映像は誠に面白い。ロングバージョンを5回も見てしまったほどだ。
この映像のパロディ作ったら、面白いだろうな…。
今から、ドンキあたりで衣装そろえて、どこかのベンチで撮影するかな…。
「夢現塾半端ないって!あの塾半端ないって!パーティーの料理めっちゃ豪華やもん!あんなんできひんやん普通……」
「夢現塾の夏期講座半端ないって!あの講座半端ないって!テキストめっちゃ分厚いもん!あんなんできひんやん普通……」
自習室監督しながら、一人で想像し、ニヤニヤしてしまっていた。
そう、夢現塾にはこういうことが、本当に得意な役者男がいる。
「やってよ」
と言えば、彼のことだ。二つ返事で承知してくれただろう。しかし、衣装準備・撮影・編集まで考えると、どうにも時間がない。
ましてやテスト前日、生徒の質問に追われていることだろう。
そこで、別の手を考えて、幸田校にいる高橋先生にFAXを送る。
「これでは普通だから、この表情の君の写真が欲しい」とメモを添えた。
一分後に電話すると、「既に撮影中、あと少しだけお待ちください」とのこと。
数分後、写真がLINEで送られてくる。
さすが!天才だ!顔の角度も、雰囲気も完璧だ!大爆笑だ!
前髪も真ん中分けして、努力の跡がよく分かる。
六名校にいる宮下先生は、髪型的にはキャプテンと同じ感じだ。
同じFAXを送ると、数分後には同様な画像が届く。
彼らの仕事(?)は本当に速い。
そして、出来上がったのがこれだ。
役者やのぉ~(笑)